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今年もたる漬けの季節がやってきた。
ミヤコさんの家でも、スーパーで大型だるを買ってきて、
たる漬けの準備を始めた。
まず、年長者であるおじいちゃんが、
「たるもん」を入れる。
「わしは、敬老の日にヨシヒコが送ってきた、
ユニクロのフリースを、いれようかの。」
といって、しずかにフリースを、たるの底に寝かせる。
つぎは、おばあちゃんが、
「わたしは、町内会の旅行で買ってきた、
着物風ブラウスにします。」
といって、フリースの上に重ねる。
「おかあさん、それいいんですか?お気に入りだったのに。」
ミヤコさんの奥さんが聞く。
「いいのよ。この間、イシガキのばあさんが、
同じのを着てたんで、いっきに、いやになったのよ。」
おばあちゃんは、手をいやいやと振る。
「つぎはおれだ。」
とミヤコさん。
「おれは、このリーバイスのジーンズだ。」
「ちょっと待ってよ。それ、このあいだ買ったばっかりじゃない。」
奥さんが制止する。
「いいんだ。じつは、買ったときから、
すでにきつくて、やばかったんだ。」
ミヤコさんは、開き直る。
「もったいない・・・。」
「ふふ、メタボ。」
娘のキリコがひやかす。
「うるさい。つぎ、お前だ、」
言われて、奥さんが、はいはいと、
自分の「たるもん」を取り出す。
「わたしは、この黒のスーツにします。」
「おい、それ、いれちゃったら、
急な葬式のとき、どうするんだ。」
と、今度は、ミヤコさんが制止する。
「そのときは買うわよ。だって、
これもう、ファスナーしまらないもの。」
「なんだよ、自分だってメタボじゃないか。」
二人が言い合いを始めようとするので、
「はいはい、つぎ。あたしの。」
とタマヨが割って入る。
「今年の夏、着たゆかた。柄が子供っぽいから、
来年、おばあちゃんに新しいの、縫ってもらうんだ。ね、おばあちゃん。」
そうして、なくても「たるもん」は、つぎつぎに、たるに入れられる。
ひと冬越すと、りっぱなたんすのこやしになるのだ。



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居間でミヤコさんがテレビをみていると、奥さんがはいってくる。
「あのさあ、さいきん、あたし、物忘れがひどいのよね。」
ミヤコさんに話しかける。
「ふーん、トシだな。」
ミヤコさんは、てきとーに答える。
「さっきもさ、アッキーに、エサやらなきゃ、と思って、いってみると、もうやってたのよね。」
奥さんは、真剣だ。
「はっはっはっ、 おまえ、さっきも、それ、おれに言ったぞ。 かっなり、やばいんじゃないか、物忘れ。 はっはっはっ。」
ミヤコさんは涙を流して、大笑いだ。
奥さんは、無言でふくれる。しばらくして、奥さんがまたやってくる。
「ちょっと、聞いてよ。」
ミヤコさんのうでをゆする。
「なんだよ。」
「イシガキさんの奥さんったら、こんなこというのよ。 『ミヤコさんのだんなさん、だんだん、すもうの、琴光喜に似てきたわね。』ですって。」
奥さんは、不満げに言う。
「えっ、ちょっとー、まじかよー。 おれ、そんなかんじ?そんな、コトミツキってる?」
ミヤコさんは、鏡を見ながら聞く。
「あたしは、そうは、思わないんだけど、イシガキさんの奥さんがいうのよ。」
「まじかよー。」
ミヤコさんは、しばらくへこむ。
奥さんはひそかに笑う。
また、しばらくして、奥さんがやってくる。
「ちょっと、聞いて! イシガキさんの奥さんたらね、ひどいのよ。 あなたのこと、 琴光喜に似てるって、いうのよ!」
奥さんは、おこって言う。



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*初めての方は(43) Title:年末ジャンボ
カテゴリー:一般を先にご覧ください。
居間のほうで、 「うおおおおー!」
と、ミヤコさんの叫び声がする。
「ちょっと、この年末の、クソ忙しいときに、なに大声だしてんのよ。」
奥さんが居間をのぞく。
「おい、見ろ、年末ジャンボはずれくじの、当選発表の、生中継だ。
で、これ、これ。一枚だけ買ったやつ、見ろ。組がいっしょなんだ。」
「あら、ほんと!いたち組!」
奥さんが、キタノさんの横にすわる。
『つづきまして、番号の発表です。』
ふたりはじっとテレビを見つめる。
『一番目は、「な」、です。』
「うわあっ、「な」、よ!「な」!」
「ほんとだ、あってる!」
『つづいて、「い」、です。』
「うわあああー!」
『つづいて、「ろ」、です。』
「きゃああああ、あってるうううう!」
『つづいて、「ん」、です。』
「やめてええええええ、やめてええええ!」
大声に、なにごとかと、おじいちゃんおばあちゃん、娘のハルカがやってくる。
「おい、大変なんだよ、年末ジャンボが当たりそうなんだ!」
「うそっ!まじっ?どうすんの!」
ハルカが青ざめる。
「なんぎなことに・・・・。」
おじいちゃんは口をふるわせる。
おばあちゃんはなみだ目になって、両手をにぎりしめている。
『さあ、のこるは三つです。』
「・・・・・。」
『まず、「ぱ」、です』
「・・・・あってる・・・。」
『つぎに、「ん」、です。』
「・・・・ああ、あってる、だめ、きまりだ。」
『さいごは、「だ」、です。当選番号は、いたち組の、「ないろんぱんだ」、です!』
「あっっっ、ちがう!うちのは、「ないろんぱん、『つ』、だ!よかったああ!よかったあああ!」
「じゅみょうが、ちぢむのお、ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。」



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