魔法の花瓶ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  魔人・ひとつの願い魔人・エンゲージリング魔人・ヒロシの願い魔人・用心深い少年魔人・はなし相手 


魔人・ひとつの願い

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(146)

ついてない男がいた。
女にはもてないし、金もない。
きょうも、競馬で負けた。

「あーあ、ついてねー!」


男は場外馬券場の帰り道、つぶやいた。

そのとき、ひとりの老人が、

「もしもし、ついてないお方。」

と話しかけにきた。

「なんだよ、じいさん。たしかにオレはついてねえけど、あんたみたいなしょぼいじいさんに、ついてねえ呼ばわり、されたくないなあ。」

と男は不満げに答えた。

「まあまあ、そうかりかりしなさんな。いいものをあげよう。」

老人はそういうと、かばんの中から、花瓶を取り出した。

「これは魔法の花瓶じゃ。このなかには大男の魔人が入っていて、

おまえの願いをひとつだけ、かなえてくれるじゃろう。」


老人はそう言って、花瓶を男の鼻先にかざした。

「はあ?ばっかじゃねえの?」

男は鼻で笑った。

「それはやってみなくちゃ、わからんじゃろう?」

老人はにやりと笑った。

「頭おかしいんじゃねえのか、じいさん?」

男は相手にせずに立ち去ろうとした。

「まあ、持ってけ!」

老人はそういうと、男に花瓶を押し付けてさっさと立ち去ろうとした。

「ちょっ、まってくれよじいさん!」

男はあわてて追いかけた。
老人の足は案外速く、なかなか追いつけない。

「おーい!ちょっと、じいさんっ!
こんな汚い花瓶、持って帰れよ!おいってば!まってくれよ!頼むよ!」


その瞬間、花瓶の中からしゅるしゅるっと大きな魔人が現れて、走る老人をがしっとつかまえた。

そして、男の前につまんで連れてきた。

「これでたったひとつの願いはかなえました、ご主人様!」

魔人は大きな声で、うれしそうに男に言った。

「えーっ、ほんとにいたのかよーっ!ちょっとまってくれよ、こんなことにたったひとつの願いを・・・って、おいっ、戻ってこーいっ!」

男がしゃべってる途中で、魔人はしゅるしゅるっと花瓶に戻っていった。

「・・・・あんた、よくよくついてないのう、
ふぁっ、ふぁっ、ふぁっ。」

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魔人・エンゲージリング

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(180)

若い男女が、夜景の見えるレストランで食事をしている。

男は、今日、彼女にプロポーズする予定だ。


ポケットには、ダイヤのエンゲージリングをしのばせている。

実は、きのう男は見知らぬ老人から、あるものをもらった。

「お若い方、この魔法の花瓶をあげよう。

この中には、大男の魔人が入っていて、願い事をたったひとつ、かなえてくれるんじゃ。

でも、気をつけなされ。

ここぞというときにださないと、つまらぬことに願いをつかってしまうからのう。」


男は半信半疑でその花瓶を受け取った。

たったひとつの願い。

それは、彼女にプロポーズをOKしてもらうこと。


男は花瓶を用心深くかばんの底に入れた。

彼女とは、まだ付き合って三ヵ月。

しかし、男はあせっていた。来年、転勤で東北に行くことになりそうだ。


その前に彼女と結婚して、どうしてもいっしょに赴任したかった。

以前付き合っていた彼女は、遠距離恋愛に耐えられず、ほかに男をつくったからだ。

いま男は35歳。彼女は24歳。

彼女にとっては、まだ結婚をあせる歳ではない。

しかし、男にとっては、このチャンスをのがしたら、

次のチャンスはいつめぐってくるかわからないのだ。

だまされてるかもしれないが、花瓶でもなんでも、すがれるものにはすがりたかった。

食事は楽しかった。

彼女は若いだけあって、よく食べる。

そんな彼女を見ているだけでしあわせだった。

絶対にいっしょに東北に行きたいと思った。

男は彼女がトイレにたった隙に、そっと花瓶を取り出した。

しばらくして、彼女が戻ってきた。

「オレたち、まだ付き合って三ヶ月だけど、こんなのは、期間じゃないと思うんだ。

愛の深さの問題だと思う。」


そう言って男は、ダイヤのエンゲージリングを取り出した。

「お願いだ。これ、受け取ってほしい!」

その瞬間、大男がしゅるしゅるっと花瓶のなかから現れた。

「ダイヤのエンゲージリング、確かに受け取りました。

これであなたのたったひとつの願いは、かなえられました!」


大男はうれしそうにそういうと、ダイヤのリングとともに花瓶の中に帰っていった。

「そんな、ばかなー!指輪かえせー!」

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魔人・ヒロシの願い

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(218)

「おい、オレ、学校来る途中、へんなじいさんに、スッゲーもん、もらったんだ。」

ヒロシが興奮しながらも、おさえた声で言う。

「なんだよ?季節外れのバレンタインか?」

ヨシキが聞く。

「ちがうよ!これ!魔人が入ってて、願いをひとつかなえてくれる、魔法の花瓶なんだ!」

ヒロシが、うれしそうにかばんから花瓶をとりだす。

「うっそ!まじっ!?あの、ネットで話題になってる、あの花瓶!?」

ヨシキが大声を出す。

「ばか!声が大きい!」

ヒロシは人差し指を口の前に立てて、静かにというジェスチャーをする。

しかし、ヨシキの声は教室じゅうに響きわたり、

「えー、見せろよ!」

「ヒロシ、やったな!」

「すごいじゃん!」


とまたたく間に、ヒロシのまわりにクラス中が集まる。

「で、ヒロシ、願い事、決めたのか?」

ひとりが聞く。

「いや、まだだけど。」

ヒロシは不満と自慢が入り混じったような表情で言う。

「やっぱ、彼女だろ!」

「ばか、もっと大きなことだよ。金持ちになるとか!」

「それよか、天才になりてー、だろ!」

「いっそ、ここにいる、みんなの幸せとか!」


まわりのみんなは興奮して、口々に言い合う。

「もう、うるさいなあ!」

ヒロシはみんなのあまりのうるささに耳をふさぐ。

「ここは、冷静に考えなきゃ!」

「おまえが言うな!おまえのもんじゃないだろ!」

「世界征服!それかやっぱ、イケメンになりたいとか!」


みんなはますますテンションをあげて、大きな声で主張しあう。

「もうっ!お願いだ、みんなちょっと黙ってくれよ!」

ヒロシが大きな声で一喝すると、花瓶の中から、しゅるしゅるっと大男の魔人が現れた。

みんなは、あっけに取られて口をあんぐり開けたまま、無言で魔人を眺める。

「・・・・・・・いたんだ・・・・ほんとに・・・・。」

だれかがポツリとつぶやく。

「みんなを黙らせました!これでたったひとつの願い事
たしかにかなえました、ご主人様!」

魔人はうれしそうにそういうと、しゅるしゅるっとまた花瓶の中に帰っていった。

「ええーーっ!そんなーー!
ひとりしゃべってたじゃないかよ!
おまえ、何にもしてねーぞ!」

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魔人・用心深い少年

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(242)

「いいなあ。いつ見てもかわいいよ。マリアちゃん。」

少年は雑誌のグラビアをしげしげと眺めている。

そして、目を机の上にやる。そこには汚い花瓶が乗っている。

たったひとつの願いをかなえてくれる魔人が、入っているという花瓶だ。

少年はこれを手に入れてからずっと悩んでいた。

たったひとつの願いなんだ。バカなことに使っちゃいけない。

ネットではこの花瓶を手に入れたが、失敗したという話ばっかりだ。

みんな欲が深すぎるんだ。だから失敗するんだ。用心深く使わなきゃ。


少年は雑誌に目を戻す。

マリアちゃんとお付き合いしたい。当然それは考えた。でも、これこそがバカな考えというもの。

オレは、マリアちゃんを見てるのが楽しいんだ。

それに、お金もかかるし付き合うのは大変そうだ。

どうか、ひと目会いたい。でも、それはもうすぐ叶いそうだ。

少年が住む街の、いちばん大きなレコード店で、マリアちゃんのイベントがある。

少年はそれに行くつもりだった。CDも買って、入場券はもう手に入れた。

その場所で、・・・そうだなあ、なにをお願いしようかな・・・。


少年の口元はゆるむ。

イベント当日。

少年はリュックに花瓶を入れてレコード店へ行った。

レコード店は少年と同じ年頃の男の子たちであふれている。

オレはお前らよりマリアちゃんに近いんだ。少年は優越感を感じた。

イベント開始時間になり、マリアちゃんが軽やかなワンピース姿で出てくる。

あちこちから、マリアちゃーん、という声が飛ぶ。

マリアちゃんはかわいい笑顔をふりまきながら、歌を歌う。

少年は花瓶を抱え、マリアちゃんがあたかも自分のものになったような錯覚に陥った。

その後、今日CDを買った人に対するサイン会があるという。

願ってもないチャンス。直接マリアちゃんにサインがもらえる。しかし少年はあせった。

CDを買うお金がない。どうしよう。CDを買うために魔人を出そうか?

それはまるっきりバカな考えだ。そうこうしているうちに、サイン待ちの列が伸びてゆく。

少年はあせる。マリアちゃんのサインが欲しい!直接欲しい!少年は意を決して花瓶をだした。

「直接サインが欲しい。お願いだ!」

その瞬間、花瓶の中から大男の魔人が現れ、少年のリュックにさらさらっと『まじん』と書いた。

「はい、サイン完了!これでたったひとつの願いはかなえました、ご主人様!」

うれしそうにそう言って、魔人はしゅるしゅるっと花瓶の中に戻って行った。

「え?え?なんで?なんで?お前のサインなんかいらねーよ!

おまけに汚い字!おーい!戻って来てくれよー!」

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魔人・はなし相手

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(288)

ひとりの老人が公園のベンチに座っている。

手には汚い花瓶を持っている。

さっき、同年輩の老人からもらった。

たったひとつの願い事を叶えてくれる魔人が入っているらしい。

そんなこと、老人はどうでもよかった。

話しかけてくれるひとがいるというだけで、うれしかった。

長いこと、人と話らしい話はしていない。

老人は半年前に奥さんに先立たれて、寂しい毎日を送っている。

つまらない。

日ごとに死にたい思いがつのる。

たったひとつの願いか。ほんとかどうかわからないけど。

いまさらなあ。

でも、ほんとだったら、ためしてみたい気もする。

妻が死ぬ前だったら妻を長生きさせて欲しかった。

妻を生き返らせてみる?

いや。病気で苦しむ姿はもう見たくない。先立たれるのはたくさんんだ。

話し相手?

そうだ!話し相手がいい。

どんな人がいいだろう?

若く美しい女性?

いや、もうそんな気力はない。気をつかうだけだ。

魔人がひとり入っていると言ったな。

その魔人でかまわない。ただ話を聞いてくれるだけでいい。


老人は花瓶に向かって言った。

「魔人よ。お願いだ。話をきいてくれ。」

すると、花瓶の中からしゅるしゅるっと大きな魔人があらわれた。

魔人は笑って、あんぐりと口を開けている老人の横に座る。

そのとき、

「あなたは神を信じますか?」

と外国人の宣教師らしき男性が、老人に話しかけてきた。

「はい、信じます!」

魔人は大きな声で答える。

熱心に宣教師の話を聞いたあと、

「は~。よいお話でした。ご主人さま、これであなたのたったひとつの願いは叶えられました!」

魔人は老人にむかってそういうと、しゅるしゅるっと花瓶の中へ帰って行った。

「ええっ!?ちょ、ちょっと、アンタ!わたしの話を聞いてくれよ~!お~いっ!」

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