沸く沸く、沸いてる!八重山ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  そうだ、今こそアドベンチャー!~ 沸く沸く、沸いてる!八重山 (1)激混み!竹富! ~沸く沸く、沸いてる!八重山 (2)ISHIGAKI CITY は絶好調 ~沸く沸く、沸いてる!八重山 (3)西表島に出発するのだ! ~沸く沸く、沸いてる!八重山 (4)スパルタシーカヤック ~沸く沸く、沸いてる!八重山 (5) 


そうだ、今こそアドベンチャー!~ 沸く沸く、沸いてる!八重山 (1)

テーマ : 日記 ジャンル : 日記




みなさんこんにちは。

中学校のときに、西表島から転校生がやってくることになった。

イリオモテジマ・・・・・

日本の端っこにある沖縄の、そのまた端っこ西表島。
特別天然記念物イリオモテヤマネコが棲息するという秘境から転校生がやってくる。
いや、そもそも、そんな秘境に住んでる人がいたなんて。
そのうえ中学校があったなんて。
無知な中学生であったわたしは、特別天然記念物がいる地域というだけで、ヤマネコ調査隊しか住めないような島だと考え、
そんなところに住んでるなんて、なんだかすごすぎる。
どんな沖縄少女がやってくるのだろう?
きっと驚くほど色が黒いに違いない。
想像はふくらむばかり。
わくわくしながらその転校生がやってくるのを待った。

やってきた転校生の女の子は、髪が黒く長く、目がくりくりしたかわいい子で、
わたしよりも驚くほど、色が、

白かった。

びっくりした。

もともと和歌山出身だったらしく、ことばもわたしたちと同じ。
父親の仕事の都合で、しばらく西表島にいただけのようだった。

その子は、西表のことを特に自慢するでもなく、
「ヤマネコなんて、いっつも見れるわ~」
などと吹聴するでもなく、ただただまじめな普通の子だった。
そのためわたしの西表島の印象は、こじんまりした島というイメージだったのだ。

しかし西表島は沖縄県の中では、本島に次いで大きい。
日本で12番目に大きい島である。
宮古島よりも石垣島よりも大きいのである。
そこそこでっかい島なのに、人口は三千人もいないらしい。
しかし、そこに面白いものがわんさかあるという。
しかちくは、
「そこでアドベンチャーをしよう!」
とドラゴンボールの主題歌みたいな提案をする。

たしかに、アドベンチャーには限りがある。
松尾芭蕉が最後のアドベンチャー『奥の細道』の旅に出た年齢も、わたしたちと同じくらいの年である。
寄る年波を嘆いているあいだにも年は取る。

ならば!
これからがんがんアドベンチャーの旅をしよう!

という決意をした。

そうして手始めに、西表島に行こう!ということになった。
西表島は本州からは遠いけど、宮古島からは近い。
石垣島からフェリーで40分。
そこにアドベンチャーが眠るのだ。

6月。
じつは沖縄観光の穴場的時期は6月である。
ゴールデンウィークも終わり、梅雨になり、しかし、梅雨も明けかけで、夏のハイシーズンまではまだ間がある。
おまけに夏至をひかえて、やたら日が長い。
暑すぎない。
これほどベストのシーズンはないのではないか?というのが6月なのだ。

わたしたちも宮古島に住んで12年目。
ようやく沖縄観光は6月あたりがいい、ということに気が付いた。

土曜日。
やきもきさせた台風も、どうにか過ぎて飛行機は宮古島から35分で石垣島に着く。

石垣島は11年前、一度来たことがある。
そのときは宮古島よりものんびりしたおおらかな島という印象だった。

が。

石垣島は変貌していた。
目を見開くほどの変化があった。

それはまるで、25歳のときの中学の同窓会。
まじめでおとなしかった子が、髪を赤く染めて全身革のいでたちでやってきてたのと似ていて、

アンタ、この10年で何があったのよ!?

と思わず全身を上から下まで何往復も見てしまうみたいな変わりよう。
以前のおもかげがまるでなくなっていて、宮古島よりもずいぶんと派手な島になっていた。

「活気あるなあ」
と何度言ったであろう。
フェリーターミナルに向かう道は土産物屋やカフェが並び、まるでちょっとしたハワイ感すらあった。
わたしたちはそこからフェリーでまず竹富島に行こうということになっていた。

竹富島といえば、さいきんでは石原さとみさんが恋人と訪れたということで話題になった。
なんだかお忍び感がただよう書き方だったのだが。

アンタ、お忍びなんて、とんでもないよ!
フェリーは満員。
日本人中国人欧米人、ありとあらゆる人でごった返し、どんな優秀な忍者でも、忍べる場所はなさそうに思える混雑ぶりだった。
「これだったら石原さとみ、忍びんな」
「忍びんよ」
というへんてこな会話をしながらフェリーで10分。

竹富島に到着。
竹富島は赤瓦の平屋が並ぶ琉球独特の街並みで有名なところ。
そこを水牛車でゆっくーり回るというのがオススメであるらしい。
わたしたちも水牛車に乗ることにした。

受付場所はお土産物屋も兼ねている。
そこは、観光客でぎゅうぎゅう詰めであった。
活気あるどころではなく、人が多すぎて殺気だってすらいた。

「ここはほんとに沖縄の離島なのか?」

というくらい、観光客であふれかえっていた。



竹富島 001





いったいぜんたい、竹富島には何があるというのだろう?
わたしは少し期待しながら水牛車の順番を待った。



つづく



とりぶう

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激混み!竹富! ~沸く沸く、沸いてる!八重山 (2)

テーマ : 日記 ジャンル : 日記




みなさんこんにちは。

今回、八重山諸島を訪れるにあたり、わたしは司馬遼太郎さんの「街道をゆく⑥~沖縄・先島への道」を読んで予習していた。
と、いうのは大げさで。
「街道をゆく」を順に読んでいただけである。
たまたま沖縄編に当たったのだが、これはもう八重山に呼ばれてるとしか思えん、と無理やりに解釈していた。

司馬さんが歩いた当時の沖縄の離島は、いまから40年以上前。
まだまだのんびりとして、観光客もほとんどいないような状況らしかった。
竹富島も交通機関がほとんどなく。
泊まるのは民泊。
しかし、本土の室町時代あたりには竹富島が八重山の総督府だったとかで、古くから開けた島らしい。
だから赤瓦の家が行儀よくならんだ集落ができあがったのだ、
という説明だったような、気がする。

ところが。
2018年の竹富島は。
もうすごいことになってる。
水牛車乗り場でお金を払う。
名前を告げると、順番が来たらお呼びしますといわれる。
帰りのバスはこれこれで、帰りのフェリーの時間にあわせてこれこれこうなってます、と言われる。
受け付けのお姉さんたちはみんなきびきびして、すべてがよどみなく進む。
おかしいではないか。
聞いてた話と違うではないか。

司馬さんのころはまだしも。
以前に訪れた人の話を聞いたところによると、
「のんびりのんびりしてた」
「おじいが水牛車で適当に案内してくれた」
ということだったのだ。

それがいまはすごいのだ。
そこかしこにカネのにおいがあふれてるのだ。
遼太郎ー、竹富島がこんなことになっとるよー!
と思わず天に向かってさけびたくなるくらい、
人とカネがうずまいてるように思えた。

受け付けして少し待つと、わたしたちの名前が呼ばれた。
水牛車にはジャイアンみたいなガイドのお兄さんが乗り込んでいた。
ほかのスタッフはみんな内地から来たらしく、えらくきびきびしていたのだけど。
ジャイアンだけは地元感があふれていた。

水牛車に10名ほどが乗り込む。
と、同時に、満作(水牛の名前)の放尿タイム。
満作は水牛の中でも、いちばんの年長だということで、おしっこも長いのだった。
おまけに行程中、二回もおしっこしていたので、人間も水牛も年取ったら尿関連のお悩みは同じだなと思った。

水牛の満作はゆっくりゆっくり進む。
両側には赤瓦の家並み。
石垣で区切られた集落。
白い砂でできた道。
それはほんとうに美しいのだけど、なんせ人が多かった。
歩いてる人、自転車に乗ってる人、水牛車、
小さな集落にわんさか人が訪れて、家を覗き込むのである。
ここに住んでる人はどんな気持ちなんだろう、と同情してしまうのだった。

ジャイアンいわく、
「家を建てるときにはかならず平屋で、まわりは木の壁と決められています」
ということ。
ひっきりなしに人が通り、家の改築もままならない。
水牛の歩みはのんびりしているが、住民はのんびりどころではないのだろうと想像できた。




竹富、激混み 001




司馬さんのころはほとんど店らしい店もなかっただろうけれども、いまではレストランもあり、外で順番待ちするくらいの混雑ぶりだった。
思わず、
遼太郎ー、今じゃ行列のできるレストランまであるよー!
と叫びそうになった。(勝手に叫べ)

満作の引く水牛車は、後続の自動車を待たせながら、ゆるゆる集落を進む。
ジャイアンはしきりに時計を気にしながら満作をせかす。
なんでも、団体客の予約があるので急いでいるとのことだった。
遼太郎ー、水牛車に団体予約来てるってよー!
と叫びそうになった。(もうええよ)

満作はそれでも急がない。
ゆるゆるゆるゆる進む。
まあ、急いだら水牛車っぽくもないかもしれん。

ゆるゆる進みながら、ようやく元のところに戻ってきた。
一頭の若いオスがいて、なにやら満作をにらんでいる。
ジャイアンのいうところによると、水牛集団の中で満作は一番の長老。
いわゆるボスである。
だから若いリュウというオス水牛から執拗に挑戦を受けるらしい。
にらんでいるのはそのリュウで、なにがなんでも今日こそは決着をつけたるけんね、みたいな鼻息だった。
ジャイアンは必死に満作の気をそらし、どうにかリュウとの一触即発はまぬがれた。

水牛の世界も大変だなあ、と思っていたら。
なんとなんと、この水牛たちの相関図が写真入りで看板になっていた。
リュウと満作はBADで×マークがついている。
思わず、
遼太郎ー、こんなとこまできめ細かいサービスしとるよー!
と叫びそうになった。(別にええやろ)

最後は満作と記念撮影である。
カメラ係のお姉さんの、
「ハイポーズ!」にあわせてシャッターが切られ、
「は-い、バッチぎゅーで~す!」
で終わり。
見ると、満作はまるでカメラ目線でもなく、そっぽをむいている。
でも、
「うわ~、満作の立派な角がとってもよく撮れてますよ~」
とのことだった。
遼太郎ー、なにがなんでもほめに来るよー!
と叫びそうになった。(うるさいよ)

竹富島をじっくり見て回るには、人が多すぎて暑かった。
わたしたちはバスに乗って再びフェリー乗り場に向かった。
司馬さんが見たような、のんびりした竹富島はきっと、
これから先はもうないのかもしれないなあ。

つづく


とりぶう

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ISHIGAKI CITY は絶好調 ~沸く沸く、沸いてる!八重山 (3)

テーマ : 日記 ジャンル : 日記



みなさんこんにちは。

11年前に訪れた石垣島の町は、それほど活気がなく、アーケードがあるものの。
昼下がり、
やる気のない空気に満ちていて、ちらほらといる観光客も、見るものもなく手持ち無沙汰でぶらぶらしていたのだった。

が。

そのアーケードが様変わりしていた。

実家の酒屋がコンビニになったとかいうレベルではなく。
実家の母にアメリカ人のボーイフレンドができた、というくらいの衝撃であった。

やる気がないどころか、活気があり、やる気まんまんである。
店員さんも若い。
どこの店でもみなさん、にこにこして明るく、感じがよいのだ。
ふだん、財布のひもがかたいことイソギンチャクの口のごとし、として知られるわたしが。(それ、かたいん?)
試食したきくらげの佃煮を、店員さんの感じの良さにつられて買ってしまったほどである。

これが「おもてなし文化」なのか・・・。
外国人が喜ぶはずである、となんだか納得してしまった。
日本全国そうなのかはよくわからないけど、とりあえず、「石垣島は観光でやっていきます!」という心構えが感じられた。

アーケードを抜けても、いたるところに店がある。
なかでもひときわあか抜けていたのが、「カカオマーケット」というお店だった。

竹富島観光を足早に終え、足早過ぎて時間が余り、まだ晩御飯までは時間があるので、甘いものでも食べようということになって目に飛び込んできたのが、そこだった。

店に入って驚いた。
おいおい、わたしはTOKYOにやってきたのかい?
と聞きたくなるくらい、おしゃれで南の島感がなかった。

いったいぜんたい、ここはなに?
チョコレートの図書館なのかい?
と聞きたくなるような、種類の豊富さと、展示の妙。

いろんな形、色、味、のチョコが積み上げられ並べられ瓶詰めされ、なんというか、
そう、まるでチョコレートの図書館だった。(それもう聞いた)

まるで昔見た映画「ショコラ」をほうふつとさせるチョコの種類の数々。
ちなみに「ショコラ」は不思議な女性がチョコレートを作る話です。
くわしくは、映画を見てください。
ちなみに「チョコレート」という映画もあるので、気を付けてください。
「チョコレート」はまるでチョコレートの話ではなかったはず。
チョコの話は「ショコラ」です。
チョコ以外の話は「チョコレート」。
えっと、なんかややこしくなってきた。

その「カカオマーケット」であるが。
おしゃれなのはそのはずで、
あのニューヨーク・京都に直営店を構えるチョコレート専門店「マリベル」が、東京・銀座に続き石垣島へ進出したのだ!
どや!
どや!
て、言われても。
わたしには何のことかよくわからんけど、とにかく有名店なのだそうな。
ひっきりなしにお客さんが入っていた。
ニューヨーク、京都、銀座には気軽にビーサンで入れないだろうと思うと、石垣店がいちばん敷居が低そうでオススメである。
そういえば、宮古島にも日本初上陸!の鳴り物入りでできたおしゃれカフェがあったが。
すでにないことを思うと、あんなにさびれたアーケードだったはずの石垣島に、オシャレが根付くための素地ができたのだなあと感慨深く思った。




おしゃれが過ぎる 001





さて、なにごとも早め早めのわたしたちは、4時半にしてすでに晩御飯モードである。
どこで食べようか~と探し回ったのであるが、どこも早くて5時開店。
しょうがなく開いてる焼き肉屋に入ると、ツンとすましたお兄さんが、
「ご予約は?」
と聞く。
していない、と答えると、予約してないのにうちに入れるのはすごく貴重なんですからね、とでもいうような態度で、
「制限時間90分です」
と案内してくれた。

店は空いてるのに、なんだよなんだよ、と思ったけれども。
その後、次から次へと予約の客が入ってくる。
壁には、「芸能人の方がたくさん来る店なので写真などはご遠慮ください」みたいな張り紙があった。
要するに人気店なのだった。

なんだよなんだよ、人気店だからってさ~。
と文句のひとつでも言いたくなったが、肉はおいしいし、ビールも美味い。
特にいうことはないです。(なんじゃそれ)

しかし、ああいう張り紙をされるとなにかしらひと悶着おこしたくなるのか、
うしろに座っていたカップルが、やたら肉の違いについて質問していたのは、
せめてもの腹いせなのかもしれん。(なんのために?)

その後、もう一軒居酒屋に入ったのだが、そこも「ご予約は?」と聞かれた。
そんなふつーの居酒屋でも予約が必要なん?
と思ったけど、のちのち聞くところによると。
石垣島は観光客が多すぎて、居酒屋が不足しているのだそう。
だからシーズン盛りの時期にはコンビニ弁当で過ごした、という観光客もいるのだとか。
沸いてるな~、と驚いた。

かつて来たときには居酒屋もこころもとない数しかなく、それでもぜんぜん予約なしで入れたのだけど。
今のこの盛況ぶりはどうだ。
なんだかまるで、実家の母にアメリカ人のボーイフレンドができたくらいのオドロキであった。(それも聞いた)

つづく


とりぶう

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西表島に出発するのだ! ~沸く沸く、沸いてる!八重山 (4)

テーマ : 日記 ジャンル : 日記




みなさんこんにちは。

今回の旅の目玉、西表島のトレッキングツアー。
フェリーに乗ってゆくために、朝7時に起床しなければならない。
ということで、前日は夜8時半に寝た。
しかちくは、
「とりちゃん、えらい寝るの早かったな」
と言いに来たが、自分も同じ時間に寝てたくせにな、と思った。

それだけ早く寝ると、やはり早く起きる。
朝5時半にはぱっちり目を覚まし、時間を持て余した。
が、朝7時にならないと食堂も開かない。
若いときには早いと思っていた朝7時が、遅くに感じる。
しょうがないので、ぼ~っとテレビを見る羽目になった。
ノーベル平和賞のおばちゃん、ワンガリ・マータイさんが聞いたら、(おばちゃんて)
「あなたたち時間の使い方、MOTTAINAIよ!」
と怒られそうである。

さて、フライング気味に朝ごはんを食べてフェリーターミナルに向かう。
このターミナルは「ユーグレナ石垣港離島ターミナル」という名称である。
ミドリムシでおなじみのユーグレナ社がネーミングライツを取得してつけたらしい。
ターミナル内には自動販売機もあって、ミドリムシのドリンクが売られていた。

「ミドリムシ、おいしいんかなあ」
わたしがつぶやくと。
「ミドリムシていうけど、あれは植物やからな」
しかちくが反応する。
「おいしいおいしくない論」が、なぜか「植物か動物か論」になってる。
前々からしかちくはやたら「ミドリムシは植物」論にこだわる。
わたしが「ミドリムシを飲むってなあ・・・」とためらおうものなら、
「ミドリムシは植物や!」
と主張。
ミドリムシ側の気持ちで発言をくり返す。
ひょっとしたらミドリムシから賄賂でももらってるんかもしれん。
「これほんの気持ちのアオミドロです」とか。(気持ちわるいわ)

ミドリムシのドリンクはいろんな種類があるらしい。
栄養満点感がただよっていた。
どんな味なんかなあ。
気になるものの。
かたいことイソギンチャクの口のごとし、といわれたわたしの財布のひもがゆるむことはなかった。

石垣島は離島観光の拠点となる島であるため、朝から観光客はそこそこいた。
ゴルフバッグを持った金持ちっぽいおじさん集団や、中国人観光客、離島で働くと思われる人々、わたしたちのような日帰り観光客、さまざまである。
フェリーの乗組員はみんなおそろいの白いシャツに紺のズボン。
白シャツには両肩に紺の肩章がついていて、シャキッとして、かっこいい。
日に焼けてサングラスをかけて、てきぱき働くお兄さんたちは、さながらトム・クルーズである。
ナンパするなら仕事中が成功率高いと思うよ、とアドバイスしてあげたかった。(余計なお世話)

さて、石垣港から約40分。
とくに揺れることもなく、船は西表島の大原港に到着。
降りるとレンタカー会社や、バス会社、ツアー会社の人たちがひしめいていて、その中にわたしたちがお世話になるツアー会社の人がいた。

よく日に焼けて背が高く、屈強そうだったけど。
けっこうなおじさんだったので、てっきり迎えに来てくれただけの人なのかと思ったら。
その人がツアーガイドだった。
そしてけっこうなおじさんと思ったけれど、わたしたちと同級生だった。
びっくり。
きっと、向こうも、
「けっこうな年寄り夫婦がやってきた」
と思ってたかもしれん。

ガイドさんはわたしたちともうひとり男性が現地で待っていて、計3人が今回のツアーメンバーになります、と教えてくれた。
ガイドさんの言葉は関西なまり。
関西からの移住者であるらしく、もう27年になると語っていた。

わたしたちもそうだけど、沖縄には移住者がとても多い。
そして、そういう人たちには共通して非マジョリティ感がある。
べつにふつうに見られなくてもいい、というような雰囲気。
サラリーマンではないということがそうさせるのかもしれん。
それはわたしも同じ。
兼業農家の公務員家庭に育ち、お給料をもらうことを当たり前に思っていたころは、マジョリティということすら考えもしなかった。
しかし、そんな生活は3年で終わり。
以来、20年以上、わたしは非マジョリティである。
略して非マジョ。
まあ、美魔女といっておこうか。(それはあかん)

そういう人々共通の「ちょっとくらいはみ出してもええやんな」というオーラが、ガイドさんからはびしびしと伝わってくるのだった。
ガイドさんの車には、レスキューの資格とか、ケイビング(洞窟探検)の資格とか、その他いろんな資格の証明が貼られていて、
いったいぜんたい、この人は何者なんだ!?
と思わせるに十分だった。
彼の経歴はとてもおもしろくてすごくて、ここに書くのは大変なくらい。
あまりに大変なので省略します。
とにかく、なんかすごいです。(それを書けよ)

車はささやかな市街地を抜ける。
ところどころに川があり、川のない宮古島から来た身にとっては新鮮で、宮古島ではまったくない水田すら感動した。
その川のひとつで車は止まった。
そこにひとりの男性がいて、その人がツアーメンバーらしかった。
わたしは一人で参加の男性、ということで、勝手に伊藤英明のような海猿ぽい人を想像していたのだけど。
そこにいたのは、残念ながら伊藤英明というには程遠い、
見た目はゆる~いケンドーコバヤシの、にこにこした気のよさそうなお兄ちゃんだった。
そしてその人も関西弁である。
隊の公用語は関西弁で進められるのであった。

こうしてメンバーはそろった。
隊長(ガイドさん)とわたしたち夫婦、ゆるコバで合計7時間の行程をゆくのである。
と、いいながら。
終わってからその内容をツアー会社のサイトで確認してそれがわかったくらいで。
じつはわたしはそのとき、何をするのかまったくわかっていなかった。
しかちくには、「アドベンチャー」と言われていて、
ああ、アドベンチャーね、と納得してはいたものの。
何をしにどこに行くのか、どんなアドベンチャーをするのか、わたしはまったく把握していなかった。
ちょっとした沢登りかな、くらいに思ってたのだ。

だから、隊長に、
「これからこの川でシーカヤックに乗ります」
と言われて、
「聞いてないよ!」
と思ったのだ。
しかしほかのメンバーはみんな、ああ、カヤックね、という顔つきだったので、わたしもそんな顔をしておいた。
ゆるコバに至っては、カヤックに取り付けるなんたらいうカメラまで持ってきてたし。
そのカメラについてひとくさり隊長と語り合ってたし。
なんか、ちょっと置いて行かれた感があって焦るのであった。

その日の川は隊長いわく、
「数年で一番かもしれない」
くらいの良さらしい。
なんでも、梅雨入りして雨がほとんど降らず濁っていた川が、
前々日の長雨で増水し、水量、透明度ともに申し分ない状態になったのだそう。
隊長もうれしそうだった。
しきりにツイてるツイてると言われるものだから、自分は「持ってる」人間なのか、と勘違いしそうになった。
持ってるものといえば、腹に一物くらいだと思ってたのだけど。

しかし、初めて参加するわたしたちにとって、悪い状態の時を知らないものだから、比べようもなく。
目の前を流れるふかみどりの川が、「悪い状態」と言われても、ナルホドと思ったはずである。

ゆうゆうと流れるふかみどりの川を見て、ふと、
「ここにもミドリムシがいてるんかな」
などと考えてしまった。
さっそくネーミングライツの効果が出てるではないか。
ユーグレナの戦略おそるべしなりよ。



亜熱帯の森 001






が。
ゆうゆうと流れる川と、遠くに見える濃緑の山を堪能できるまでには、けっこうな難所が待ち構えているのだった。

つづく


とりぶう

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スパルタシーカヤック ~沸く沸く、沸いてる!八重山 (5)

テーマ : 日記 ジャンル : 日記



みなさんこんにちは。

「沸く沸く、沸いてる!八重山」のメインイベントであるアドベンチャーツアー、いよいよ開始である。
メンバーは隊長(ガイドさん)、ゆるコバ(ゆる~いケンコバみたいな男の人)、しかちく、わたし、の4人。
最初のアドベンチャーはシーカヤック。
シーカヤックというのは、細いボートみたいなもの。
隊長とゆるコバは一人乗り、わたしたち夫婦は二人乗りのカヤックでゆく。

そのカヤックは隊長いわく、
「ほんとうのシーカヤック」
なのだそう。
そういわれてみると、なるほど、なんだか立派である。
カヤックの先端も、まるでひとむかし前のヤンキーのエナメル靴のようにとがっている。
しかし、本物でないのはどんなやつか?と聞かれたら、説明できる自信はさほどないのだけど。
本物ではないやつは、商品名が『シーカヤック』なのだそうで、うまいことを考えるひとがいるものだと隊長は笑っていた。

さて、そのシ-カヤックは足で左右の方向を決める式のもの。
二人乗りの場合は、後ろに乗った人がそのペダルを担当。
10対1で、後ろが難しいという。
わたしたちは紆余曲折もなにもなく、すんなりしかちくがペダル担当となった。

隊長が、
「シーカヤックに乗ったことは?」
と聞くので、
「2、3回あります」
と答えたところ。
それなら大丈夫だとばかりに、すぐにカヤックツアーは始まった。

ちょっとびっくりした。
というのも。
わたしたちがいつもジョギングする海沿いコースの途中に、シーカヤックをやってる店がある。
そこのオニイさんはやたらとスパルタなのだ。
最初はビーチでしっかりとオールの使い方の練習。
それが終わったら海に出るのだが、海に出たら、
「もっと右!」
「行き過ぎ!」
「左!」
「あー、ダメダメ!ダメだよっ!」
としきりに声が飛ぶ。
わたしはそれを聞きながら、
「お金払って怒られるってなあ・・・」
と気の毒に思っていたのだ。
しまいには、
「あー、そこで待ってて!ちょっと動かないで!」
とドクターストップならぬオニイさんストップがかかったりして、
心の中でひそかに「戸塚シーカヤックスクール」と呼んでたのだけど。

そんなシーカヤックツアーだったらどうしよう?
わたしは2、3回乗ったことがあるとはいえ、おせじにもうまいとはいえない。
ひょっとしたらあのオニイさんのように、「あー、ダメだよっ!」と怒られるかもしれん、と思っていたのだけど。
まったくそんなことはなく。
ないどころか、そのツアーはそこらへんが非常にざっくりとしてて、とにかくやってるうちに漕げるようになるさ、みたいなほっとかれる感じがとってもよかった。





いざ、シーカヤック 001




その日は数年に一度というくらいの状態の良さなので、いつも行けないところまで行くという。
「うわー!」
とは思うものの。
「でもそれって、難しいんでしょ?」
という気持ちがむくむくとわいてくるのであった。
通販番組で、
「でもその育毛剤、お高いんでしょ?」
と疑念をいだくような感じ。
通販番組なら「いえいえ、今なら3本で6980円!」みたいに、まるで高くない感をかもしだされるのであるが。

そのコースは、
「細~いところを通りますんで、かなり難しいです!」
と隊長はハキハキとおっしゃるのだった。
「まじかよ~」
とわたしは思うのであったが。
うしろにしかちくを乗せているしな。(ほぼ自分が乗せてもらってるくせに)
それにあのゆるコバだってがんばってるしな。(どこから目線よ?)
そう思うことでどうにか平静を保つのであった。

シーカヤックは最初、広いところをゆく。
まだこのあたりは余裕である。
隊長の話をちゃんと聞けるくらい、余裕があった。
隊長の西表島に関する話は面白く、へ~、ほ~、とうなずくことしきりだった。
西表島ではいまだに不思議な祭りが残っていて、それはそれは面白い話だったのだけど。
書くのがちょっとめんどくさいという、諸般の事情により割愛します。(サボってるだけやん)

さていよいよ、難所に到着。
ここはマングローブが入り乱れて、細い上に迷路である。
隊長が、
「しっかりついてきてくださいね。でないと見失うんで」
と脅す。
わたしたちの気持ちは引き締まるしかないのだった。

マングローブの根っこが交差する細い水路を、隊長のカヤックはすいすい進む。
見ているだけならいとも簡単そうである。
わたしたちのカヤックが後に続いた。
とたんに根っこに引っかかる。
「しかちゃん、右、右!」
「いや、無理無理」
「いったんバック、バック!」
「えー、バック?」
「次、左!あー、行き過ぎた!」
簡単どころかまるで思うように進まない。

ここに来て、二人乗りの難点があらわになった。
わたしとしかちくでは、わたしのほうが座高が高い。
そのため、後ろで方向を操作するしかちくからは前が見えないのである。
「とりちゃんの背中しか見えへん」
という状態のしかちくを、わたしが導いてゆかねばならぬのだ。
プレッシャーである。
自慢じゃないが、わたしは右と左が非常にあやふやな人間。(ほんま自慢じゃないよ)
そんなわたしがこのカヤックの運命を背負っているのだ。

わたしは必死に頭をめぐらせ、ちょっと早めに指示を出すことにした。
「次、左!」
「思ったよりもぎゅ~っと曲がってる!」
「しだいに右!」
「違う、左!」
わたしはまるで戸塚シーカヤックスクールのオニイさんであった。
わたしの声だけを頼りに、しかちくは足を操作する。
しかし、なかなか連携はうまくいかない。
しょっちゅう引っ掛かるマングローブ。
そのたびにバックして、木の枝に頬を打たれる。

へとへとになって抜け出たら、ようやく隊長のカヤックが見えた。
しかし、わたしたちの姿を確認したらすぐに進む隊長。
「まだ行くんかい~」
とわたしは心の中で叫ぶのであった。
わたしのイメージでは。細い一本道のような水路を進むのだと思っていたのが。
迷路も迷路、大迷路である。
突き当りの連続に、すでに腕はパンパン、呼吸も荒くなってくる。
わき目もふらず必死にオールを漕ぐこと50分。
と、いいたいところだけど。
たぶん15分くらいだったように思う。
ようやく、広い川に出た。



亜熱帯の森 001




あーよかった。
胸をなでおろした。
隊長は、
「とにかくここを抜けたらだいたい漕ぎ方は覚えるんで。
体で覚えるのが一番なんですよ」
とおっしゃってた。
たしかにそれはいえる。
命の危険を感じて初めて人は真剣に頭を使うのだ。
わたしだって、ここにきて右と左をようやく覚えたのだ。(ようやく?)
隊長のやり方は、ある意味、戸塚シーカヤックスクールよりもスパルタといえた。

しかし二人乗りのカヤックは夫婦のきずなを試される乗り物である。
お互い味方なんだ、敵ではないんだ、
と思っておかなければ、容易にケンカになりそうだなと思った。
隊長いわく、
「ここはよくケンカになりますね。
このあいだも奥さんが、『あなたほんとにへたくそね!』て旦那さんにキレてましたよ」
とのことだったので。
このマングローブの難所をケンカせずにくぐりぬけたことが、なんだか誇らしく思えるのであった。
ひとえにわたしの指示の的確さのおかげであるな、と思った。(絶対ちがう)

広い川をひとしきり漕いで、元のところに向かう。
てっきりこのままどこかへいって、そこから沢登りするのだと思っていたわたしの思惑ははずれた。
それはまた別の場所だという。
何もスケジュールを把握していないわたしにとって、このアドベンチャーツアーは、まるで行先を告げられずに行くミステリ―ツアーでもあったのだった。

つづく


とりぶう

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