2008年08月ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  放し飼い宮古島犬トテと夏休みドラフト会議宮古島の運転事情外国人の目は一重・二重?となりのおじい警報グアバ編 


放し飼い宮古島犬トテと夏休み

テーマ : エッセイ ジャンル : 小説・文学
(257)

トテとは散歩の途中に会いました。

わたしたちの後を、トテテテテという足音をさせてついてきたので『トテ』と呼んでいます。

「ちっちゃい柴犬やな。まだこどもかな。」


しかちくはトテの喉もとをなでながら言います。

「これは雑種やで。柴犬はもっと顔の幅広いし、目がはれぼったいもん。

うちで柴犬飼ってたから、わかるわ。こんなに落ち着いてるところみると、もうかなり年寄り犬やな。」


わたしは犬のことなら何でも聞けとばかりに、したり顔で答えます。

トテは、柴犬よりふたまわりちいさくしたサイズで、ほえず、こびず、枯れた感じが絶妙です。

「若い犬だったら、はしゃいでうるさいけど、トテはええ感じやなあ。」

と、たまにトテに会えたら、なでながらそういってほめるのでした。

トテは神出鬼没で、いつも同じ場所にいるとはかぎりません。

現に、トテが違う3軒の家から出てくるのを見ました。

一軒の家では番犬のように寝そべっていたので、近くにいた子に、ここの犬か?と聞くと、

違う、あそこの犬だと、それまでの3軒とは違う家を指しました。

年とったらなんでもありやな、犬の世界も。

そしてトテの本名が、チビだということもわかりました。


チビって、見たまんまやな。
(トテも聞いたまんまやろ!)

ある日。

久しぶりにトテに会ってなでていると、大きめの犬が2匹やってきました。どちらも放し飼いです。

それまでのんびり寝そべっていたトテは、急に立ち上がり、ものすごい勢いでほえ始めました。

自分の倍くらいありそうな犬に、果敢に向かってゆきます。

あわや大惨事かというところで、犬たちは飼い主のおじさんに怒鳴られながら行ってしまいました。

それにしても、老いたからだにムチ打って、トテのあの迫力!さすが長老!


「ようやったなあ、トテ。もうおじいさんやのになあ。」

わたしたちはトテをなでまわしました。

トテはちょっと興奮気味ながらも、いつものようにへんな斜め座りをして、舌をだしていました。

しかし。

「チビ、まだ二歳だよ。」

近くにいた少年は言います。

えっ!まだ青二才!?
(ただの二歳や!)

うっそー、なんやのこの枯れ方は!ゆっくりしてんのは、ただのぐうたらかいな!だまされた!

そういえば、あたし、思いっきり年寄りやで、ってえらそうに断言してしもたなあ・・・。

「ほんま、とりぶうは見る目ないな。」

しかちくは笑いながらいいました。

でも、見る目ないとしたら、しかちく。

あんた自分のこと否定してることになるんやで!


2008natuyasumi

いつも「とりぶうの読むコント」を読んでいただき、ありがとうございます!
勝手ながら、8月8日~14日まで夏休みとさせていただきます。
8月15日から通常どおりアップしますので、またお越しくださいませ。
過去作品も読んでいただけるとうれしいです。
「え~な~、夏休みかよ~。」
という声が聞こえてきそうですが、優雅な生活とはほど遠い毎日です。
みなさまのブログも15日以降に散歩することになりますが
そのときはよろしくお願いしますね。
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ドラフト会議

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(258)

校長室の電話はとうとう鳴らなかった。

数社来ていたマスコミも、すっかり帰ってしまった。

一日中ざわついていた学校が、ようやく静かになった。

サトルはキャッチボールをしながら、淡々とその事実を聞いていた。

ドラフトにかかるということは、すごいことなんだ。

日本中に野球少年は何人いるんだろう?

その中で、注目されるというだけでもすごいんだ。

マスコミが来るというだけでも・・。


サトルは夕日がつくる自分の長い影を見て、ぼんやり思った。

帰り道。

「お前、大学行くの?」

トモダがポツリと聞く。

「いや。就職する。」

早く母ちゃんを楽させてやりたい。こころの中でつぶやく。

小学校1年のとき父ちゃんが死んでから、母ちゃんはひとりでサトルを育てた。

キャッチボールも母ちゃんとしか、やった記憶がない。

テレビで父親とキャッチボールしてるシーンがあったりすると、サトルはちょっと切なかった。

と同時に、キャッチボールをやってくれる母ちゃんって、すごいな、と誇りにも思った。


玄関に母ちゃんの自転車が止まってる。今日は早いな。

「ただいまあ。」

答えてくれる人がいるときは、大きな声で言う。

「おかえりー。」

母ちゃんの声がキッチンから聞こえる。

カレーのにおいがする。サトルの大好物だ。

「母ちゃん、久しぶりにキャッチボールやろうぜ。」

サトルはキッチンにいる母に言う。

母ちゃんは、ちょっとためらったが、

「そうね。今日はまだ早いから、久しぶりにやろっか。」

とエプロンをはずす。

母ちゃんは何も聞かない。

母ちゃんは自分専用のグローブをさして、かるく準備運動する。

「あのさあ。」

ボールを投げながら、サトルは言う。

「ええー?」

返事をしながら、母ちゃんがボールをキャッチする。

「野球部のオオキ、ドラフト、ダメだったんだってー。」
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宮古島の運転事情

テーマ : エッセイ ジャンル : 小説・文学
(259)

宮古島では、ときどきおそろしくゆっくりな車に遭遇します。

めったに渋滞のないこの島で、そのゆっくりカーのために渋滞が起こることもあります。


この間も、そんな超ゆっくりカーを見かけました。

タダでさえイラチの関西人。

おまけにわたしは運転能力に、はなはだ自信がないにもかかわらず、

人のヘタさ加減には容赦しないという、悪魔ちゃん。

(ちゃんつけてかわいこぶるな!)

「もう、ほんまのろいなあ。」

とハンドルをこつこつたたきながら、2台前の車に悪態をついていました。


信号で曲がるその車を抜かすとき、

えっ!と思いました。

無人!?

もう時代はそこまで行ってんの!?

よくみると、乗ってました。

(あたりまえや!)

めっちゃ、ちっちゃいおばあちゃんでした。

びっくりし~。

(たぬきやめろ!)

それにしても、かなりな高齢。

80歳くらいかと思われるおばあが運転してるなんて!

強いな~。

宮古島ではおばあの運転率は結構高いのです。

もみじマークのついた車でせっせと移動しています。

宮古島では、ゆっくり走っても、文句を言われないのがいいです。

ここでは、あたし、運転うまいほうちゃう?


見よ、この華麗なるハンドルさばき。車庫入れだって、ほほいのほい!

と思っていたら、先日、皮膚科で車を出すのにエライ苦労しました。


5台おける駐車場の一番はしっこにとめたのですが、そこから出すのがとても大変だったのです。

何度も切り返し、切り返し、ちびちびちびちび向きを変えるのですが、

なかなかうまく出られません。

そのうちに、隣に車をとめた人が戻ってきて、

「はよ出てくれへんかなあ。」

という顔つきでじっと見ています。

ああ~、あせる~!その目、やめて~!

しかし、あせればあせるほど、どろ沼にはまりこみます。

そうや、いまからここにとめるんですって顔しとこ。

(へんなミエはるな!)

わたしは汗だくになって、車をとめなおし、隣の人に先に出てもらったのでした。ふ~。

人に『のろいなあ』なんて、悪態をついてると、

思わぬところで、のろいがあるんだなあ。
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外国人の目は一重・二重?

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(260)

南の島大学学生食堂。

「ウラジミール君、聞きたいことあります。」

カレーパンを食べていたホイ君が、思い出したように聞く。

「なんや?

留学生一の日本通、ウラジミールがなんでも答えることできます。」


ウラジミール君がもみ手をしてにやりと笑う。

「ワタシは、ひとえですか?」

ホイ君がまじめな顔で聞く。

ひとえ

ああ、ホイ君、めちゃひとえひとえひとえ、めちゃひとえ。」


ウラジミール君はホイ君の目をみて、力強く言う。

「ウラジミール君もひとえです。」

ホイ君がウラジミール君の顔をみて言う。

「はあ?

なに言うてますか?よく見なさい。

ボク、ふたえ。めちゃふたえ。ボク、目がはっきりしてる。

このような目、ふたえです。」


ウラジミール君がちょっとバカにしたように言う。

「ひとえはいいものです。ワタシ感謝された。」

ホイ君はカレーパンをかじりながら、にやにやする。

「へ~、ひとえがいいのですか?」

ウラジミール君がさらにバカにしたように聞く。

「わたし、日本人の男ともだちとレストラン行きました。

そこで、わたしと同じ国の女の子、いました。とてもかわいかった。

女の子、日本語、わかりません。男ともだち、女の子と話したかった。

わたし、通訳しました。

男ともだち、よろこびました。

わたし、ひとえのおかげ、言うました。」


ホイ君がお人よしっぽく笑う。

「ははあ。あほやな、ホイ君。

それ、ホイ君がひとえで、顔わるいですから、ライバルへってよかった、ということですわ。

すなおによろこぶと、あぶないことでした。」


ウラジミール君がいじわるそうな顔で、ホイ君の目を指差す。

「そういうことでしたか。これは、たいへんでした。ウラジミール君は、物知りです。

ワタシ、日本語じょうずになります。

これも、ふたえのウラジミール君のおかげです。」
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となりのおじい警報グアバ編

テーマ : エッセイ ジャンル : 小説・文学
(261)

となりのおじいは、いつもうちのガレージの木戸をあけてやってきます。

そこには簡単なカギがついてるのですが、トイレにあるようなやつなので、開けるのも簡単です。

だから、とても気軽に出入りしています。

音もなくいきなり庭にいるので、かなりおどろきます。

最初、あんまり勝手に入ってくるのがイヤだったので、もうひとつ簡単なカギをつけました。

内側に、かなり手をのばさないと届かないところにつけました。

おじいは戸惑っていました。何度もガチャガチャやっていました。

その様子に家族一同、「うしししし」と、計画の成功によろこんでいました。


しかし、なんのことはない。

おじいは正面からやってきました。

いくら小手先でごまかしても、おじいはやってくるんだ。

でもまあ、正面からだったら来てるということがわかるからまだましか。


と思っていましたが、なんのことはない。

おじいはおサルよりは頭がよかったようで、ガレージのカギを攻略。

いままでどおり、ガレージから気軽に出入りするようになりました。

でも、そのカギのおかげで、おじいが木戸から出入りする音がわかるようになりました。

ガチャガチャギイィという音がすると、『おじい警報』が発令されるのです。

このあいだ、ガチャガチャギイィが聞こえたので、「またおじい来たわ」と思っていました。


しかし、なかなか庭にあらわれません。

おかしいと思って外に出ると、まさに鉢植えを持って逃走の真っ最中でした。何てことを!

「ちょ、おじい!おじい!ダメだよ!それ持ってっちゃダメ!」

わたしはあわてて追いかけました。

「はああ?ちょっとこれかわいそうだから、植えかえするさあ。育ててあげるんですよ。」

おじいは悪びれた様子もなく、この鉢植えを自分が救ってやるという口調です。

かわいそうって、あんたんちのパパイヤに言いたいわ。


おまけになんで恩着せられてんねん。まさに盗っ人たけだけしい。

そして、「おじいも知ってるから!」といいます。

『おじい』というのはお義父さんのことで、そのときちょうど留守にしていました。

「ほんまに~?それなんていうやつ?」


わたしは腕組みしながら聞きます。

バンチキローですよ~。実がなっておいしいさあ。子どもが喜ぶよ。」

おじいはうれしそうに言います。

しかし。あとからお義父さんに聞いてみると、そんな約束した覚えはないといいます。


またしてもおじいめ。

おまけにバンチキローというのはグアバのことで、大事に育てているシロモノだったのです。

ぬううう、ほんまにおじいのアンチキショー!
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