2008年12月ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  源氏物語と意外な側面となりのおじいの耳に仏心特別枠沖縄の雑草と草刈り病院 


源氏物語と意外な側面

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(350)

『では第二問。『源氏物語』で光源氏、頭中将のふたりから愛された夕顔。

その夕顔の娘といえばだれ?』

「玉鬘!」


ナツミさんが大きな声でテレビに向かって答える。

「へ~。お母さん、やるじゃん。」

タマヨが感心する。

「そういえばナツミ、むかしっから源氏物語がどうのこうの、よく言ってたよな。」

ミヤコさんが腕組みしながら言う。

「へっへ~ん。どうよ~。わたしすごくない?あなたたちも、わたしのこと見直したでしょ?

こう見えてもわたし、学生時代、源氏物語を原文で読破しようと思った事だってあるんだから。

あのなが~い名作『源氏物語54帖』をすべてよ!」


ナツミさんは自慢げに胸をはる。

「で、読破できたわけ?」

「いいえ。」

「じゃあすごくないじゃん。自慢されて損した。」


タマヨが肩をすくめる。

「ナツミはいっつもそうさね。

思ったけどやらなかったことだらけなんだ。」


ミヤコさんが茶化す。

「あら。そうは言っても、いまの問題わかったの、わたしだけでしょ?

どうよ。これが教養ってもんなのよ。でもときどき、困っちゃうのよね。

ほら、わたしって親しみやすいキャラクターだと思われてるみたいだけど、

結構、教養あるじゃない?

だから、ふとした瞬間に教養がこぼれてしまって、みんなをしらけさせたりしてないかなあ、なんて気つかってんのよね。」


ナツミさんが鼻の穴を広げながら、せいいっぱい謙虚そうに言う。

「大丈夫。ほとんどこぼれてないから。」

タマヨが片方の唇を上げて冷静に言う。

「ちょっと、そんなことないわよ。じゃああなたたちこの問題わかる?

源氏物語』で光源氏の息子夕霧の幼なじみで、妻になったのはだれ?わかる?どう?」

「そんなのわかりっこないじゃん!」

「雲居の雁よ。わたしにとっちゃこれ常識なんだけど。

やっぱりそれが教養あるってことなのかしら。

どうよどうよ!わたしってやっぱり教養あふれてるでしょ!」

「・・・・強要、だろ?」

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となりのおじいの耳に仏心

テーマ : エッセイ ジャンル : 小説・文学
(351)

このあいだ、朝からとなりのおじいが植木鉢を持ってきました。

かなりどっしりしっかりした植木鉢です。

「どうしたの、これ?」
わたしが聞くと、

「おじい(うちのお義父さん)が欲しいって言ってたさ~。持ってきてあげましたよ~。」

と重そうに植木鉢をおきます。

「ああ、そう。ありがとう~。お義父さんよろこぶよ。」

わたしはその日、けっこう気分がよく、おじいにはブログのネタを提供してもらってるしなあ、

というめったに出さないホトケゴコロをひっぱりだして、愛想良くほほ笑んだのでした。

おじいはめずらしくたばこをせがまず帰っていきます。

ちょっとちょっと~。

おじいも成長したやんか~。

わたしはヒナの成長をみまもる母鳥のように、おじいのヒナのようにうすい頭を見送っていました。


その後、朝の散歩から帰ってきたお義父さんに植木鉢のことを言うと、

「あれはうちの植木鉢や。」
と苦笑します。

聞くと、おじいはうちのシークワーサーや、その他の大きい木の鉢を勝手に持っていってたそうなのです。

おじいの庭の定期チェックでそれを発見したお義父さんは、脱力して植木鉢だけでも返せと言ったらしいのでした。

く~っ!またやられた!

まったく、おじいめっ!ホトケゴコロを返せっ!

わたしは楽しみだったシークワーサーを持っていかれたショックよりも、うかつにおじいにホトケゴコロを出してしまった自分に腹がたってきました。

まるでオオカミ少年の言うことに最後までだまされるうかつな農民です。

おまけにおじいの家に植えかえられたシークワーサーは、水やりという名の虐待をうけて、だんだん元気がなくなってるということでした。

おじいはその日の午後、またうちにやってきて、お義父さんになにやら言っています。

「実のなる木がほしいさ~。」

っておじい!

シークワーサーグアバパパイヤも持って行ったやろ!

その頭はヒナじゃなくって、ハゲワシやったんか!

おじいはへらへらしながら執拗に、

「実のなる木がほしいですよ~。あ~、実のなる木~。」

と歌うように庭を物色してゆきます。

「もうない。あんた水やりすぎや。」

強く答えるお義父さんとおじいは、実のない会話を続けているのでした。
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特別枠

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(352)

「タマヨの高校の野球部は、甲子園行けそうとかいう情報ないのか?」

ミヤコさんがニュースを見ながら聞く。

「えー、うちの高校?

ありえないよ~。いっつも一回戦で負けてるんじゃないの?」


タマヨが眉毛を整えながら答える。

「ほら、21世紀枠とか希望枠とか、そういう特別枠に引っかかったりもしないのか?」

「はあ?何それ?」


タマヨは鏡とにらめっこしながら聞く。

「タマヨはほんとに何にも知らないさね~。

選抜高校野球でさ、特別に出してもらえる枠があるんだよ。

たとえば部員16人しかなくって、全員地元出身なんだけど、県大会でいいところまで行ったとか、

めちゃめちゃ進学校だけど、野球部ががんばってるとか、

そんな高校が選ばれるんだよ。」


ミヤコさんが力を込めて言う。

「ああ、ないね。

だいたい、うちの高校って、なんでも中途半端だもん。」

「だろうな~。父さん一度でいいから甲子園で応援してみたいんだよなあ。」

「行けばいいじゃん。」

「自分に関係ない高校応援してもおもしろくないんだよ。

自分の母校とか、子供の通ってる高校とか、そういうのを応援したいんだよ。」

「あ、わかる~。

そのナントカ枠もさあ、もっと全国高校生の気持ちを考えて欲しいよね。

だいたい、高校野球って出てくる高校いっしょじゃん?

そんなのおもしろくないからさ、前回出た高校は次回だめ、とかさ。

全国の女子高生が選ぶイケメンぞろいの野球部枠、とか。」


タマヨが楽しそうに言う。

「おお、そういうのいいかもな。

おもしろいことをいっつもやってくれる野球部の枠、

その名も『わく枠』、とかな。」


ミヤコさんはひとさし指をたててうれしそうに言う。

「それ微妙だなあ。」

タマヨが笑いながら顔をしかめる。

「塁に出たら、いつもギャグを言う野球部っておもしろいだろ?

セカンドへ急かんどー、とか。サードへさあどうぞ、とか。

な?どうだ?おもしろいだろ、あっはっは!」


ミヤコさんは自分のギャグに大うけする。

「・・・それは『めい枠』だね。」
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沖縄の雑草と草刈り

テーマ : エッセイ ジャンル : 小説・文学
(353)

「そろそろ、街路樹の草刈りせなあかんなあ。」

わたしは道に大幅に張りだしてきた雑草を見て言います。

「ええ~~~~!」

しかちくは大幅にいやがります。

こらこら。反抗するのはあたしの専売特許やで。

「だれかがやらなあかんやん。もうこのままやったら道、通られへんで。」

「ええ~~~~!オレはいやや~!」

しかちくはナマケゴコロを総動員して反抗します。

ナマケゴコロのむき出しは醜いもんやなあ。
(いつもの自分や!)

宮古島の植物は、伸び方がハンパじゃありません。

現に、半年ほどまえに更地にしたとなりの空き地は、もう半分、森のようです。

宮古島の夏は大阪の夏より気温も低く、むしろ過ごしやすいのですが、秋が暑いのです。

11月になって、北海道から積雪のたよりがとどくころ、まだ半そでなのでした。

だから雑草たちは、伸び放題。

非を認めたらとことんのさばってくるクレーマーのようでした。

「こんなん、草刈り機で一気にば~っとやったったらええんちゃうか。

オレやったら、もうこの街路樹ごとぜんぶばっさりやな。」

しかちくはまるで、比叡山を焼き打ちしろと命じる織田信長です。

「ほな、やって。」

「草刈り機ない。」

「ほな、地道に刈るのん、手伝って。」

「ええ~~~~!どうせ刈ってもまた伸びるやろ?そんなん、オレ、いちばん嫌いやねん。

一回刈ったら、二度と伸びてけえへん、ってわかってたらやるわ。

だいたい、なんのために街路樹ってあんねん?」

「見た目がええからやろ?」

「オレはいらん。オレは殺風景でもええから、手間がかからんほうを心の底からのぞむ。」

しかちくは一事が万事、この調子です。

決めるのが面倒だからという理由で、Tシャツも短パンもくつしたもパンツも、すべて黒なのです。

そして、合理的なことを心の底から愛しているのでした。

しかちく、大阪人やったら、豊臣秀吉の精神持たなあかんで。

刈らぬなら、刈ってみせよう、この雑草、やんか。」

とりぶうに譲るわ。」

「ええ~、あたしは紀州徳川家のお膝元育ちやのに。だれかが刈るまで待とう、この雑草。」

「なんやそれ。自分も刈れへんやないか!」

わたしたちはぐだぐだと言い合いながら、結局、毎日雑草を見て見ぬふりしているのでした。

ああ、今日も草木は伸びてゆく・・・。
(早よ刈れ!)
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病院

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(354)

ミヤコさんのおじいちゃんが病院でキズクさんに会う。

「ヘーイ、ミヤコさんちのグランパ、こんにちは!」

マスクをしたキズクさんが愛想よく話しかける。

「おうおう、ふぉっふぉっふぉ。わしはグラバーじゃないけどの。」

おじいちゃんは笑いながら答える。

「じゃなくって、グランパっておじいちゃんってことですよ。

ミヤコさんちのおじいちゃん。ごほっ。」


キズクさんがセキをしながら言う。

「おお、そういうことじゃったんかいの。ところで、おたく・・・だれだったかいの?」

おじいちゃんはニコニコしながら聞く。

「オーノー、ボクですよ。となりの。」

「大野さん?となりの?」


おじいちゃんは不安げな顔になる。

「ボクですよ、石垣です。」

キズクさんがマスクをはずす。

「おうおう、そのあご。

思い出した、あごの人じゃの。おとなりの。ふぉっふぉっふぉ。」


おじいちゃんはキズクさんのあごを見て思いだす。

「あごの人って・・・・・。ごほん。ウェル・・・今日はどっか悪いんですか?」

「おうおう、いいやあ、わしじゃないんじゃ。

知り合いが入院しての。今日は見舞いにきたんじゃ。」

「ああ、そうだったんですか。ごほっ。ソーリー、ちょっとセキが。」


キズクさんがせき込みながら言う。

「おたく、風邪かいの?いかんの、それは。大事にしなされや。」

おじいちゃんがキズクさんをのぞきこみながら言う。

「ありがとうございます。こほっ。

きのうまでなんともなかったんですけど、今日起きたらいきなり熱がでて、オーマイゴー、ですよ。」


キズクさんが笑いながら大きく両腕を広げる。

「ええっ?それはいかん。

おたく引っ越してきてもう半年以上たつのに、まだ迷子になるんかいの?」


おじいちゃんが目をまるくする。

「じゃなくて、オーマイゴッドというのは、ああ神さまってことですよ。」

「ああ、わかるよ、わかる。そんなときは神さまにもすがりたくなるもんじゃからの。

帰り道、わかるんかの?なんだったら、待っとこうかの?」

「いえ、大丈夫。ノープロブレムです。」

「・・・おたく、迷子になるんは脳の問題じゃったんかの?」

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