2009年04月17日ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  高級品 


高級品

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
(461)

「じゃあ、こっちのイスとそっちのイスならどっち?」

輸入家具雑誌を見ながら、タマヨがナツミさんに聞く。

「わたしは、こっちね。

この背もたれのカーブがすごく気持ちよさそうだもの。それにこの脚の細工が豪華よね。」

「え~、あたしこっちのほうがいいな。ふわふわしてすわりごこちよさそうだもん。

シンプルだけど、高いんだよ、こういうのが。」

「今回も決裂ね。いくわよ、どっちが高いかドン!

タマヨのは、114,800円、わたしのは、298,000円!

やったー!連勝!さすが、違いのわかる女、ミヤコナツミ!」


ナツミさんは大きく両手をあげる。

「あー、くやし~!こんな悪趣味のイス、30万って考えらんないよ。」

タマヨは雑誌を指でつつく。

「あんたはまだまだ子供なのよ。真の高級品のよさが理解できないのよね~。」
ナツミさんは両手を腰にあてて背中をそらせる。

その夜。

ナツミさんがお風呂から上がってくると、ミヤコさんがワインを飲んでいる

「あら、あなた帰ってたの。やだ、また飲んでるの?今日、飲み会だったんでしょ?」

ナツミさんがタオルで頭をふきながら顔をしかめる。

「いやいや、まあ聞けって。今日すごくいいもんもらったんだ。だから、さっそくな。」

言いながら、ミヤコさんがワインをひとくち含む。

「え~、もったいないじゃない。そんないいものだったら、記念日かなにかにとっておけばいいじゃないよ。お酒飲んだら気が大きくなるんだから、まったく。」

「何言ってんだ。こういうのは普段に楽しんでこそ、価値があるんだよ。後生大事に飾っておくなんて、貧乏人のすることさね。やっぱ、違いのわかる男に楽しまれなきゃかわいそうだよな。」


ミヤコさんが赤い顔で言う。

「あ、違いがわかるって言ったわね。じゃあ、わたしの出番じゃない?ちょっと味見させてよ。」

ナツミさんがグラスを持ち上げて一口ワインを含む。

「聞いておどろけ、14,000円だからな!まあおさがりだけど。」


ミヤコさんが両手の指で1と4をつくって言う。

「ああ、こ~れはいいワインね。なんて言うのかしら。口のなかにブドウ畑が広がった感じ。
苦味の中に、フルーティーな甘さがかすかに立ちのぼるの。やっぱり、わたしぐらい・・・あっ!」


ナツミさんがうっかりグラスを落として割ってしまう。

「おいっ!なんてことしてくれるんだよっ!」

ミヤコさんが泣きそうな声で言う。

「ごめんなさい。でも、ワイン飲んだ後でよかったわ~。不幸中の幸いね。」

ナツミさんがあわててホウキとちりとりを持ってくる。

「14,000円は、グラスなんだよ!ワインはうちにあった料理用!」
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