2009年04月20日ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  大いなる遺産 


大いなる遺産

テーマ : ショートショート ジャンル : 小説・文学
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「でもまあ、大往生だったんじゃないか、おじさんは。」

ミヤコさんがリビングでコーヒーをすすりながら言う。

「そうね。98歳まで生きたんだからもう思い残すことはないわよね。」

ナツミさんがミルクティーを飲む。

「しかし、今日のは、なかなか派手なお葬式だったさね。

さいきんの葬式っていうと、けっこう内輪でひっそりとかいうのが多いけど、今日のお葬式は盛大だったよな。盛大っていうのがふさわしいかどうかはしらないけどさ。」

「長生きしたから子どもや孫のつきあいも多いんでしょうけど。あそこはお金あるからね。」


ナツミさんがちょっと肩をすくめる。

「へえ。だいたい何の仕事してるんだ?」

「よくわからないけど、最初は鉄工所だったのが、あのおじさんががんばって何か特許とったらしいのね。

それから高度経済成長の追い風に乗って、会社を広げたらしいわよ。

いまじゃ世界じゅうから注文くるらしいの。

いとこ、って言ってもわたしよりか20歳も上だけど、その人がかなりのやり手らしいのよね。ぜんぜんそうは見えないんだけどね。」

「へ~。じゃあ遺産はずいぶんありそうだな。」

「あるんじゃないの?きょうだい5人もいるから、もめるわよ、きっと。」

「うわ、聞くだけで大変そうさね。」

「遺産なんて多ければもめる元なのよ。だから稼いだぶんは自分で使い切ることも大事かもよ。」

「でも、遺産は魅力的だよな~。」

「まあねえ。」


しばらくして。

「ナツミさん。」

おじいちゃんがキッチンで夕食のしたくをしているナツミさんに声かける。

「どうしたんですか?」

「わし、遺産をだめにしてしもうて、すまんのう。」


おじいちゃんが子どものようにあやまる。

「な、何言ってるんですか!

お義父さんの遺産なんて、わたしたち、ぜんぜん当てにしてませんから!

あ、じゃなくって、あの遺産がなくっても大丈夫です。

マモルさんもわたしも、お義父さんが健康でいてくれさえすれば、それがいちばんうれしいことなんですよ。」


ナツミさんは真っ赤になって早口で言う。

「そうかい?なにやらようわからんが、わし、今日食べ過ぎたみたいでの。ふぉっふぉっふぉ。

胃散飲もうと思ったら、ぜんぶこぼしてしもうての。

だめにしてしもうて、すまんのう。」

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