2012年10月09日ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  吉田先生 


吉田先生

テーマ : 日記 ジャンル : 日記



みなさんこんにちは。

先日の巨大台風が夏を連れ去っていったのか、さいきんの宮古島は秋の気配濃厚。

こんな秋風に吹かれると思い出すことがあります。

きょうはその話をお聞きください。

ちょっと長いです。

忙しいのに、ごめんよ。



わたしの小学校にはプラネタリウムがありました。

吉田先生という理科の先生がそれを使っていました。

おわり。

どこが長いねん!

と突っ込んでくれた人ありがとう。

突っ込み2級の称号を与えましょう。(いらん)

全校生徒150人あまりの小さな田舎の小学校に、どうしてそんなハイカラなものがあったのかというと。
校舎が新しくなったからなのでした。

わたしが小学校1年生のときに新築した校舎は、はなはだ立派。
各教室の各つくえには『アナライザー』なる機械が設置され、生徒が席にについたまま、机の横にあるパソコンのマウスくらいの機械の1~5までの番号のいずれかを押すと、教卓にいる先生のモニターに反映されるという、30年前には最先端だと思われる機械までありました。

それが精力的に活用されていたという記憶はまったくなく、むしろそのコードが邪魔で掃除がしにくかったという印象しかありません。

新築校舎にはそういう無用の長物というべき代物がたくさんありました。

校舎が無駄に立派だった理由は。

その当時、わたしの住んでいた町に原子力発電所を作ろうという動きがあり、その下地つくりなのか、根回しなのか、よくわかりませんが。
要するに、協力してくださいよ~的な電力会社のお金がふんだんに使われた校舎だったからなのです。

反対運動が強く、原子力発電所はできませんでしたが、すでにできた校舎を返してくれともいえないでしょうから、わたしたちはその最先端施設がととのえられた校舎で勉強していたのでした。

その施設の一環として導入されたのがプラネタリウムだったのです。
小学校1年生のときからその校舎で勉強しているわたしにとって、学校にプラネタリウムがあるのは当たり前だと思っていたのですが。

それは「オレ、飛行機通学」くらい、めずらしいことだったのかもしれません。

前置きが長くなりましたが。

え、まだこれ前置き!?

はい。

ごめん。無駄に長くて。

よかったら暇なときに読んでくれてもいいです。

そのかわり、かならず読んでな。(脅すな)

さて。

プラネタリウムは図書室にありました。
20人が輪になって座るといっぱいくらいの、小さなささやかなものでしたが、天幕にうつる星は忠実に空を再現していました。

そのプラネタリウムを扱っていたのが、吉田先生。
30過ぎの巨漢の男の先生でした。

吉田先生は博識の巨漢。
おばけの話から宇宙の話、植物の話、動物の話、ほんとうになんでもよくしってる巨漢でした。

だから、「明日はプラネタリウムを見ます」と言われると心底うれしく、わくわくしながら次の日になるのを待ったものでした。

「これが今晩7時の空です」
という語りから始まる吉田先生のプラネタリウム。
バックにはかならず、サンサーンスの『白鳥』。

さいしょは少し明るい天幕が、しだいに暗くなってゆき、地上の山並みが見えなくなるほど暗くなると、星がいちめんにきらめきだします。

吉田先生は、ギリシャ神話から星の動き、宇宙のふしぎまで、低学年のわたしたちにもわかりやすくお話してくれ、わたしたちはみんな星の世界のとりこになったのでした。

とりわけみんなオリオン座とさそり座の話が大好きで、先生のお手製星差し棒がオリオン座を指し示すと、いよいよはじまるで~とにやにやしてくるのでした。

吉田先生は時間があまったときには幽霊話をしてくれました。
あまりに怖かったため、それでおもらしした子もいるほどです。
わたしは、そのときの話を鮮明に覚えていて、いまだにだれかに語る定番幽霊話として活用しています。

先生はユーモアも解する素敵な巨漢で、『紙ヒコーキどれだけ飛ばせるか大会』や、『先生の知らない花を持ってくる大会』などを開催し、優勝者には缶ジュースプレゼントというおまけつきでした。

先生の知らない花を持ってくるというのは、簡単なようで難しく。
わたしたちは外に出て(比較的自由に学校の外に出られた時代)片っ端から花をちぎってきては、
「先生、これはなに?」
といどむのでした。

そのたび、先生は余裕の微笑みで花の名前を告げ、わたしたちを敬服させるのでした。
そのときの優勝者はたしか、家にあった花を持ってきた子。
『葉っぱつきで』という条件だったけれども花だけを持ってきていて、唯一先生が答えられない花だったのでした。

それ以来、わたしは学校の帰りにはめずらしい花がないものか、といちいち見回しながら帰ったものです。

だから、田んぼのあぜ道にいっせいに彼岸花が咲くころ。



彼岸花 2012 10・9



彼岸花は花が咲くころには葉っぱがないので、
これは先生にはもっていけないな、
でも先生は彼岸花わからないわけないな、
など、つらつら考えながら帰っていたころ。

突然、先生が亡くなりました。
がんだったそうです。

がんというのは細胞がだめになってしまう病気だ、と教えてくれたのは当の吉田先生だったのに。
巨漢の先生は、まだ死ぬには若かっただけにあっという間にがんが広まったのでしょう。

やせた先生を見ることもないくらい急に亡くなりました。

お葬式の参列者が多く、異様に列が長かったのを覚えています。
まるであぜ道に咲く彼岸花みたいに、ずーっと続いていました。

担任に持ってもらったこともなく、数年理科を教わっただけだったけれど。

サンサーンスの『白鳥』を聞くとプラネタリウムを思い出し、
珍しい花を見ると、葉っぱを探し、
怖い話はパクらせてもらって自分の定番にし、
数年前の誕生日プレゼントには、家庭用プラネタリウムをもらうという、

さまざまな吉田先生の影響が、わたしの中に及んでいることは間違いありません。

涼しい風が吹くころになると、吉田先生のプラネタリウムを思い出します。

さてそろそろ本題に入るとして。

え!?

まだ本題じゃなかったの!?

と、突っ込んでくれてありがとう。

もう終わりです。

長い話にお付き合いいただきありがとうございました。

きょうはひさしぶりに星をみあげてみよう。

それでは~


とりぶう

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