2013年05月14日ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  スポンサーサイトナオキくん(仮名)とさんりんしゃのうた 


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ナオキくん(仮名)とさんりんしゃのうた

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みなさんこんにちは。

わたしは子どものころからよく勝手な歌を作って歌っていました。

あるときはくまちゃんの歌。

~♪ くまちゃんかわいいゆ~ゆ~ゆ~

という、簡単な歌詞のへんてこなふしまわしのもの。

あるときは『沖縄民謡』

~♪ はんだびたはんだび~ はんだ~び~ はんだ~び~ はんだび~だ~び~

という、沖縄の人が聞いたら、「おいバカにすんな」とゲンコツの一発でもくらわされそうなもの。

またあるときは『雪の歌』

~♪ しんしんし~んと雪が降る~ しんしんし~んと雪が降る~
 み~んなみんな外に出て遊ぶ しんしんしずまった家の中~

というまさかの短調のしらべ。

これらをくり返し歌っていて、きょうだいにも歌うようにすすめたりしていましたが、
だれもわたしの歌を喜んで歌ってくれる人はいませんでした。

わたしにとって歌を考えることは、外で鬼ごっこするのと同じくらい、ごくふつうのことだったのですが、
そういう考えはあまりだれとも共有できず、ひとり気持ちが盛り上がったら、

「く~まちゃんか~わいい ゆ~ゆ~ゆ~」

と大声で歌っていたのでした。

そんなあるとき。

たしか小学校2年生だと記憶していますが、めずらしく転校生がやってきました。

ナオキくん(仮名)という男の子。

いつも鼻水をたらしていて、走るときは内股。

口元にしまりがなく、いつもぽかんとした顔つきをしていました。

ほぼ農家の子でしめられた田舎の小学校に転校してくる子はめずらしく、最初のうちは男子たちも、ナオキくんをいろんなことに誘っていました。

しかしそのうち、どうやらあいつはちょっと変わってるということになり、だんだんナオキくんはひとりでいることが多くなってきました。

ナオキくんはたしかに見た目もちょっとひ弱で田舎のガキっぽさはなく、異質な感じだったのですが、変わってるいちばんの要素は、いつも歌を歌っていたということでした。

それもオリジナルソング。

内容は、

~♪ さんりんしゃ ふりまわして あそんだ~
 きのう~ いもうとと さんりんしゃ ふりまわしてあそんだ~

というシュールなもの。

ナオキくんがにやにやしながら何かつぶやいてるな、と思って聞き耳を立てると、いつも

「さんりんしゃ ふりまわして~」

の歌を歌っているのでした。

変人だ、と思いましたが、同時にわたしはとてもうれしくもあったのです。

ナオキくんはわかってるほうのヤツだ。

歌を考えることが日常のあたりまえな行為として認識してる、こっち側のヤツだ。

そのうえ、わたしはどこかで自己規制がかかり自作の歌を学校では歌えないのに、

ナオキくんは歌ってる。

超へんてこな歌を小声とはいえ、ひとまえで歌ってる。

すごいやつだ!

そう思い、ナオキくんから目が離せませんでした。

あるとき。

放課後、何かで遅くなり、教室に荷物を取りに戻ったとき、ほかにだれもいない教室で、ひとりナオキくんは歌を歌っていました。

それもいつもよりもずっと大きな声でした。

「さんりんしゃ~ ふりまわして~ あそんだ~!」

一心不乱でした。

振り付きでした。

ぐるんぐるんバレリーナのようにまわりながら歌っていました。

わたしはそのとき、これが完成型バージョンなんだと、とてもしっくりきました。

わたしが来たことに気がついたナオキくんは踊るのをやめました。

少しはずかしそうにも見えました。

わたしはなにも話かけないのもおかしいと思い、

「ナオキくんはいっつもなにして遊んでるん?」

と聞きました。

するとナオキくんは、

「妹と三輪車ふりまわして遊んでる」

と答えました。

歌そのまんまやん!

と思いますが、わたしもまだ小学生。

そういう突っ込みを思い浮かんだのはあとからであって、そのときは、あまりにも三輪車ふりまわすことにこだわるのが不思議で、

「ふーん。おもしろいん?」

と聞きました。

ナオキくんは、三輪車ふりまわして遊ぶのがおもしろくないわけないだろう!みたいな顔で、じゃっかん鼻の穴をふくらませ、

「うん」

としっかりうなずいたのでした。

すごい子だ。

なにか理解を超えてる。

勉強ができるとか、スポーツができるとか、お手伝いがすすんでできるとか、

そういうわかりやすい部分が秀でている子には決して思ったことのない畏怖の念が、わたしの中に広がるのを感じました。

何度かナオキくんの日記を見たことがあります。

それはやはり。

『きのう、いもうととさんりんしゃをふりまわしてあそびました。』

で徹底されていました。




すべての道はローマに? 2013 5・14




すべての道はローマに通ず。

どこからアプローチしても、行き着く先は『さんりんしゃふりまわしてあそんだ~』になるんだと思うと、ものすごく愉快な気分でした。

ナオキくんは転校してきて1学期間もいるかいないかのうちに、また転校してゆきました。

口数が極端にすくなかったナオキくんから聞いたことばは、ほぼ「さんりんしゃ ふりまわしてあそんだ」に関することだけでした。

後日。

ナオキくんが転校して行ってから、ナオキくんの話題になったとき。

ひとりの子が、

「ナオキくんって、『さんりんしゃのうた』ばっかり歌ってたやん?

だから三輪車に乗ってるんかなあと思ってたら、ふつうに自転車に乗ってたで。

ぐるぐる乗り回してたで」

と報告してくれました。

なんじゃそれ!

三輪車ふりまわしてばっかりじゃなかったんかい!ということに少なからずショックを受けましたが。

内股の転校生のへんてこぶりは鮮烈な印象のまんま、いまだにわたしの心に残っています。

彼はどんなオトナになったんだろう?と思うことはあります。

あたりまえながらナオキくんも41歳のはずで、いまならフェイスブックやその他で探すこともできるのかもしれませんが。

『さんりんしゃのうた』を聞いたときのへんてこな気分が壊れるといやなので、きっと探すことはないだろうなあ。


それでは~


とりぶう

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