2014年07月30日ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  スポンサーサイト絶食の夏、盲腸の夏 


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絶食の夏、盲腸の夏

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みなさんこんにちは。

スイカの種を飲み込んでも、盲腸にはならないって!

という話は、すでに常識だと思われますが。

まだそれがひょっとしたら本当かもしれないとかすかに思われていた20年前の夏。

わたしは盲腸で入院しました。

おなかが張ったように痛くておさまらず、近くの総合病院に行くと、

「たぶん虫垂炎だと思いますね~」

というはなはだ心もとない診断で一週間ほど入院しました。

当時姉と二人暮らし。

新入社員とはいえすでに社会人だったので、入院費やその他もろもろ、薄給の身には非常にこたえた夏でした。

それよりもなによりもこたえたのは、絶食だったこと。

盲腸の治療は、手術するか、抗生物質の投与で治すか、の二種類だそうですが、

ちょっとおちゃらけた主治医が、

「切っとくか?」

と、ヒマだから手術でもいっとく?みたいな感覚で言います。

わたしは切らずにすむなら切りたくないと訴え、とりあえず手術しなくてもいけるだろうということで、抗生物質の投与になりました。

しかし、意外とこれがきつい。

虫垂炎、いわゆる盲腸は、炎症を抑えることが大事なので、食べ物を食べてはいけないのだといいます。

入院2日目にして、すでにわたしは絶食がとてもつらくなってきました。

回診に来た主治医にそれを告げると、その主治医は、

「じゃあ、いっちょ切るか」

とまたおちゃらけた調子で言います。

マジフザケンナ!

と思いました。

こっちは一応結婚前の乙女(?)
ビキニの着れないからだにしてくれるつもりか!(その後妊婦でも着てたけど)
それよりなにより、手術するほうが高くつくやろ!
まったくこれだから医者ってもんはよぅ!

と思いました。

わたしは「がまんします」といい、ひたすらひたすら絶食を耐えたのでした。

おちゃらけ医者はその後も回診のたび、

「いっそ切っとかないか?」

とわたしをからかうので、食べられないイライラもピーク、

アンタの大事なところを切り取ってやろうか!

という『阿部定』的殺意が生じてきた4日目くらいのころ。

ようやく明日からごはんを食べてもいい、というお達しがありました。

わたしは狂喜乱舞。

うれしくてうれしくて、同じ病室のおばさんたちに、

「明日からやっとごはんなんですよー」

と言ってまわり、お箸を持ってきてなかったので、とりあえずスプーンとお箸を売店で購入。

来るべきそのときに備えたのでした。

そうなるともうごはんが待ち遠しくてたまらない。

そのころすでに痛みはなく、ただただヒマ王国の住人だったので、うろうろ歩き回り、

「ああ、まだかな、まだかな、ごはんまだかなー」

と首を長くしていたのでした。

ようやく食事のにおいがあたりにただよいはじめ、ごはんが各病室に運ばれる気配。

わたしはきちんとベッドに戻り、テーブルもスタンバイして、お箸とスプーンもセットしました。

いままでは他の患者さんたちがテーブルをセットするのを、ただただうらめしげに眺めるだけだったのが、

今日からわたしもテーブルセットできる側の人間。

ああ、位人臣を極めるよりも、幸せとは食べられるヨロコビなりよ!

ほくほく顔のわたしのところに、看護士さんがごはんを運んで来てくれました。

お盆に載せられた皿を見て、わたしはしばし言葉を失いました。

・・・・。

エ、コレダケ?

ワタシノゴハン、ゴハンジャナイデス。

コレ、お湯デス。

わたしは呆然としました。

絶食続きの体には、「おもゆ」からはじめなければならない、ということで、

ごはんの形をまるでとどめない、水糊みたいなおもゆがちょびっと、お皿に入れられていました。

箸、必要なかった。

向かいのベッドのおばさんのお盆には、ごはんに汁物に大きめのお皿と小鉢。

それが満漢全席に思え、思わず涙が出そうになりました。



それでもうれしかった 2014 7・30




それでも、0と1では違う。

なにもないよりはずいぶんましだ。

そう言い聞かせ、大事に大事におもゆをすすりました。

その後徐々にしっかりしたお米のおかゆになってゆき、ごはんが出たころ、退院の許可も出ました。

わたしはもともと白血球値が高い目なので、別の医者から「盲腸に間違えられるかも」といわれたこともあります。

だからあの夏。

わたしはほんとうに盲腸だったのかどうか、いまではかなり疑わしいと思っているのです。

それでもあの夏。

食べられるというのはこんなにもうれしいことなのだ、ということがわかりました。

そして、その後。

おなじような痛みにおそわれたときは、食べ物を控えめにしようと心がける自分がいます。

なによりも食べることが大好きなわたしにとって、二度と絶食の夏は迎えたくないのです。

それでは~


とりぶう

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