2018年10月18日ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  セミなのかセミでないのか、それが問題、でもないな ~沖縄のてっぺん、於茂登岳 (2) 


セミなのかセミでないのか、それが問題、でもないな ~沖縄のてっぺん、於茂登岳 (2)

テーマ : 日記 ジャンル : 日記



みなさんこんにちは。

いざ、於茂登岳登山!
と、勢い込んできたわたしたちであるが。
登山口までの1.7㎞で、けっこう腹八分目までくる。

しかし、まだ登山自体が始まっていないのである。
登山口は舗装されてはいないが、道幅も広く歩きやすそうだった。

まわりでは虫の声が聞こえる。
しかちくが、
「セミ鳴いてるな。ツクツクボウシみたいなやつ」
という。
「セミなわけないやん、季節が違うもん」
わたしは即座に否定。
「セミやと思うで。よう聞いてみて」
しかちくはあくまでセミ説を曲げない。

わたしは耳を澄ますふりをしたが、きっぱり否定した手前、
(どうせ確認しようがないだろうから、適当に聞いておこう)
と思った。
そして、
「セミちゃうやろ。まるで鳴き方が違うで」
と言った。
「そうかなあ」
しかちくはすこし不満げであった。
が、そのときに少しカナカナに似た鳴き声が響いた。
わたしはいまさら肯定できないと思い、
「セミちゃうで」
と重ねていった。
まるで、
「不倫はしてません」
ときっぱり否定する女優の気持ちだった。(そんなに大げさなもん?)
心の中では、
(早くしかちくがセミの話忘れてくれへんかな)
と思う気持ちがたくさんあった。

そして話をそらすために、
「見て見て、あの木!南国っぽいな~」
と道の横で茂っている木を指した。

さいわい、その木は宮古島ではあんまり見たことがないもので、キリンみたいな模様が入っていた。
しかちくも、
「ほんまや」
と幼稚園児みたいにすぐに気をそらされていたので、しめしめ、と思った。

しかし直後。
わたしの足元にセミの死骸を発見。
(あちゃー)
と思った。
(できることなら内密にしておきたい)
と思った。

しかしわたしは正直者として生きることを決めた人間。(いつ?)
ずいぶんたって、ほとぼりが冷めたころ、
「あ!」
と言い。
しかちくが、
「なに?」
といぶかしがったところで、
「さっきの鳴き声、やっぱりセミだったわ!死骸があった!」
と申し出た。
「なにが『やっぱり』やねんな」
と言われないくらいの間をとったので、しかちくもわたしが否定していたことなど忘れて、
「そうだったんか~」
と素直に喜んでいた。
円満解決めでたしめでたし、であった。(正直者のやること?)

わたしたちは足取りも軽く進む。
正直、よゆーだ。
これで1時間後には頂上だと思うと、屁のような登山じゃないかと、へそで茶を沸かそうとしていると。

いきなり行き止まりにやってきた。
うっそうとした森の中、どっちに行ったらよいかわからない。
「どうする、どっちやろ?」
道しるべもない中、わたしたちは立ち止まった。

すると、茂みの中から上下カッパを着て長靴をはいたおじさんがいきなり現れた。
えらいとこから出てきたな、と驚いた。
おじさんはカメラを持っていて、なんかの調査をしてる人みたいに見えた。
そのおじさんに聞いたところによると。
「この沢を横切ると、登山道がありますよ」
とのこと。

なんと、えらいとこから出てきたと思ったその場所に入ってゆけ、というのであった。
それまで広い道だったのが、急に道なき道を行けというのである。
まるでエスカレーター式のお嬢様学校を出て、いきなり大家族の農家に嫁いだようなもんである。
わたしたちはひるんだが、まあそこまでの悪路ではないだろうと思い、おじさんにお礼を言って沢に向かった。

沢には石がステップになっていて一応歩きやすくはなっている。
滑らないように用心しながら進む。
これくらいのスリルは思い出になるな、と思いながら歩く。
しばらく沢を行き、ようやくそこを抜け、一息ついたと思ったら、丸太橋がかかっていた。
二本の丸太をくっつけただけの橋。
その下にはゴーゴーと唸り声をあげて激流が流れていた。
と、
いうことはまるでなく。
チョロチョロとした流れがあるのみだった。

しかちくが、そろそろと丸太橋を渡ってゆく。
しかしわたしはこういう橋が非常に苦手である。
流れがいくらチョロチョロであっても、その高さが怖いと思ってしまう。
中途半端に高い平均台とか、背丈ぐらいのコンクリート塀の上を歩くとか、ひたすら苦手なのである。
苦手であるが、これをクリアしないことには先に進めない。

わたしは深呼吸をして、一歩ずつ一歩ずつ、よちよちよちよち渡っていった。



押すなよ 001




カタツムリでももうちょっと速く進むやろ、
と思えるくらいの歩きっぷりでどうにか渡り終えた。
ふ~。
難所クリア。

と、
このときは思った。
しかし、これは始まりの始まりに過ぎないのであった。

つづく。

それでは~


とりぶう


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