宮古島のおみやげ
作品No.(1)
「ええもん、見せたるわ。」
サークル仲間の吉田から電話があった。「南の島研究会」の部室には林と加藤と佐竹が、もう集まっていた。
「みんな、集まったか。」
すぐ後ろから吉田が入ってきた。
「なんやねんな、ええもんて。」
林が缶コーヒーを飲みながら聞いた。
「俺な、この夏、宮古島行ってきたんやけどな、めっちゃ、おもろいもん見つけてん。」
そう言うと吉田は、ビニール袋から「ジャン」と言って、缶ビールのようなものを取り出した。
「なんや、オリオンビールやん。」
加藤がフリスクを口に入れながら言った。
「ちゃう、ちゃう、よう見てみい。」
四人がいっせいに顔を近づけて見る。
「あ、オリオンちゃうわ。オニオンや。オニオンビールて書いたあるわ。」
佐竹が眼鏡のふちをつまんで叫んだ。
ほんまや、オニオンや、と皆が口々に言った。
「これ、オリオンビールのバッタもんやろ。」
俺が缶を手にとって言った。ところが、缶の中に、何か固形物が入っている。
「な、おもろいやろ?」
吉田は俺の反応を見て言った。ほかの三人もかわるがわる缶を手にとって、うわ、なんやこれ、という反応をした。
「なに入ってんねんな。ビールにあるまじき感覚やで。」
林が言う。
「実はな、俺も知らんねん。これ、たまたま入ったコンビニでさいごの一本やってん。みんなに見せたろ、思てな、開けんと持って帰ってきてん。」
吉田はそういうと、
「今から、世紀の一瞬です!」
と言って、プルタブを引っ張った。カシャッという音をたてて缶のふたごと、ツナ缶のように開いた。
吉田は中を見て、
「あーぁ、なんや、ほんまもんやん。」
と笑った。見ると、たまねぎが、皮をむかれた格好で入っている。
「ビールちゃうやん。」
と加藤が言うのとほぼ同時に、佐竹が、
「あ、ちっちゃい『ニ』が入ってる。オニオン、ビニール、や。やっぱり、バッタもんや!」
と叫んだ。


あしたも、お待ちしております。!

