農家の子ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  農家の子 


農家の子

テーマ : 日記 ジャンル : 日記




みなさんこんにちは。

わたしの夏の思い出といえば、稲の消毒。

稲に農薬を散布する手伝いをすることでした。

兼業農家のわが家ではただでさえ労働力が不足。

ゆえに『稲の消毒』は、『餅つき』とか、『墓参り』みたいに、家族総出の年中行事みたいなものだったのです。

ふだん 『子どもは禁止』 となにかにつけてうるさい父も、消毒に限っては子どもの労働力を頼りにするので、

こんなときこそ、『子どもは禁止』 にしてくれないものか、と常々思っていました。

田んぼは、家のすぐそばのものから、車で5分くらいかかるところのものまで、各地に散らばっていたので、一日仕事でした。

わたしたち子どもに与えられた任務は、ホース引き。

稲を倒さないように、ホースを要所要所で持って、

父の合図で引っ張ることでした。

引っ張るのが早すぎても遅すぎても稲を倒すので、けっこう気をつかわなければなりません。

ぼーっとしてたら、

「とりぶう、早よ引っ張れ!」

と父の怒号が飛ぶので、地味なわりに気を抜けないという、めんどくさい手伝いでした。

消毒の手伝いの何がいやだったって、農薬が臭いことよりも、炎天下の中立ち続けることよりも、同級生に会うことでした。






夏の思い出 2011 7・28







小学校も高学年になると、農業の手伝いをしてる自分を見られることが、恥ずかしくてしかたありません。

やっかいなことに、同級生の家のすぐ目の前にうちの田んぼがあったりするものだから、そこを消毒するときはいやでいやで、

急に激しい夏風邪にでも見舞われないものか、

あるいは、

知らない間にわたし以外の家族が、消毒を済ませておいたよ~という夢みたいな出来事が起こってはくれないものか、

と真剣に思いました。

その同級生の家も農家だったので、なんら恥じることはないのですが。

日本がバブルを迎えつつある1980年代の田舎の小学生にとって、

農業を手伝わないことが かっこいいことだったのです。

あるとき。

その同級生の家の前の田んぼでホース引きをしていたときに、別の同級生が自転車に乗ってくるのを見かけました。

わたしは、

どうか見つかりませんように!

と思いながら、じっと身じろぎしませんでした。

ここにいるのはとりぶうではありません。

とりぶうは農業の手伝いなんかしてません。

とりぶうは家で白いワンピースでも着て 『りぼん』 を読んだり、お絵かきしたりするのが似合う子なんです。

とひたすら存在を消すことに専念していたのですが、

「とりぶうっ、早よ引っ張れ!」

の父の大声で、わたしの存在は白日のもとにさらされたのでした。

同級生はわたしに気付いていたはずだけれど、気付かない顔をして通りすぎてゆきました。

あのころ、農業の手伝いをしている友達にたいする、それがマナーであったように思います。

不思議なことに。

高校生にもなると、農業の手伝いをすることがさほどいやでもなくなります。

むしろ、手伝うことで、養ってもらってる感謝の気持ちを表すことができる、と思うようになってきたのかもしれません。

父が4年前に亡くなってから、実家では米作りはしていません。

もう手伝う機会も永遠になくなってから、はじめて、いい経験だったなあと思えるようになりました。

夏休みって聞くだけで、あざやかに子どものころの思い出がうかんでくるのは、おもしろいものです。

夏は、ほかのどの季節よりも、思い出のバリエーションが多い季節かもしれませんね。


それでは~



とりぶう


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郷愁

子供の頃の農業体験は、歳をとってからの最高の郷愁になります。
私は、山国に住んでいても町場生まれの町場育ち、夏休みに八ヶ岳の麓の祖父の所へ行って、麦踏みだの、牛の餌の草刈り、遠い所にある畑の竪穴式住居のような小屋で食べた弁当、山にあるものを地元の子供に教えて貰って採り歩いた事等が、未だに記憶の半分くらいを占めているようなのです。
その頃を思い出すのが、一番幸せを感じる時間なのです。

お久しぶり!!

なんでこんな暑い時に!!
稲の消毒。
今まさにその光景を見かけるよ。

わたしは、
よっぽど人手がない時に声がかかるだけなんだけど、毎年、この時期は影を潜めることにしています。
ええだけお米をもらって食べておいてそれはないだろ、って、ねー(^^;;

No title

今思えばいい思い出っていっぱいありますね

帰省するたび 子育てのことで母と話していると
「あんたのときは こうだったわ」と
当時の私にはたぶん言ってないようなこと、
とっくに忘れてたようなことを話してくれます

笑って受け入れられる自分に
今日の記事のとりぶうさんがカブりました 笑

宮古の夏の思い出は 自然いっぱいが一番かな^^

No title

うんうん! わかるよ!!
子供の頃は 恥ずかしいよね~
友達に見られるなんて・・・とんでもないって!! 笑)

そうか~お米作ってたんだ~

今思えば 貴重な体験って思える!
良いことです!!

No title

とりぶうさん、そう言う時代がありましたよね。(笑)
友達だからこそ入っていけない距離がね(-_-;)。
いつの時代でも子供の時に体験できたことは
すべてよいことなんだよな(*^_^*)。

ぐっときましたよ!

こんばんわ、とりぶうさん。。

なんか切ない、でもほのぼのとした夏の思い出ですね。
きっと天国でお父さんも喜んだはると思いますよ。
夏が来るたびに思い出してあげてくださいね!
素敵なお父さんとの夏の思いでを・・

松の実さん。

麦踏みに草刈り、八ヶ岳、いいですね~。
子どものころに野山で遊んだ記憶って、大人になって、野山から遠ざかれば遠ざかるほど、
すごく得がたい思い出だと思うようになりますね。
当時もいやなこといっぱいあったはずなのに、浄化されてるのが不思議です。

チサ さん。

ひさしぶり~!!
ほんとほんと、なんでこんないちばん暑い時期に!?
と当時もよく思ったよ。
こっちにいると稲そのものを見かけないので、(田んぼがない!)
たま~に消毒がなつかしくなるんだよね!
きっと、稲をいつも見てると、わたしも影をひそめてしまうと思う!はははは。

まっさん。

そうそう!
自分の記憶と、親が覚えてる自分の子ども時代とは、
少しずれがあるのがおもしろいよね。
へ~、わたしそんなこと言ったんだ~とか、そんなにぼけっとしてたんだ~とか。
宮古島の記憶はどんなものになるのか、子どもが大人になったら聞いてみたいです!

イノぶたさん。

友達も農家だからべつに気にしなくてもいいんだけど、自意識過剰な年ごろなんだよね~。
うちは兼業農家だったので、父が休みの日曜日が農業をやる日でした。
子どものころは、手伝いばっかりの日曜日がいやでいやで。
だから、サラリーマン家庭がうらやましかったな~。

つばさパパさん。

ほんとうに、子ども時代の体験は、すべて自分のキーワードになってますよね。
その体験があったからこそ、いまの自分があるんだとしみじみ思います。
鎌を持つと、自然と手が動いてしまう自分がこわかったり。はははは。

さすらいの阿呆鳥さん。

あのころ、手伝いがイヤでたまらなかったのにね~!
人間かわるものです。ははは。
でも父や家族の働いてる姿を見るというのはいいことだったと思います。
自分も微力ながらその役に立ってると思える経験は、子どもの自信につながると思います。

夏休みは

母方の実家で石屋の手伝いをしていました。
夏休みの思い出のほとんどが石屋の思い出です(笑)
盆明けには単位は尺貫法になっていました(爆)

今思えば貴重な体験ですよね(^_^;)

のぶちんさん。

石屋さん!
それはなんだか、すごい!
RHマイナスとともに、なんだか、すごい!
石屋さんの手伝いって、なかなかできませんよね。
だからのぶちんさんはかたい意志の持ち主なのかも!?

硬いといえば

頭は硬いです。
まさに石頭(^_^;)

のぶちんさん。

ははは!
きれいに落ちました!
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