郵便料金変わりますショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  郵便料金変わります 


郵便料金変わります

テーマ : 日記 ジャンル : 日記




みなさんこんにちは。

4月から消費税率アップにともなって、郵便料金も変わります。

大事な手紙はお早めに!

といっても、いまや手紙でやり取りする人はごくわずか。

メールで即座にやり取りできる昨今、郵便料金を値上げされてもそれほど困らないひとが多いのかもしれません。

郵便料金と聞いて、思い出すのはあの春休み。
わたしが小学校低学年のころのことです。

宿題のない春休みは天国。
来る日も来る日も絵を描いて、マンガを読んで、テレビを見て、という自堕落な2週間だ!
と思っているのはほんの2,3日。
たいていはそういう出来事に飽きてきて、
「あー、やることないー、やることないー、どっがにやることねーがー?」
と、なまはげのように、家中うろうろしていたのでした。

そんなある日。
「豊中のおばさんが来る」
という話を聞きました。
豊中のおばさんというのは、大阪豊中市に住んでいたひいおばあちゃんの妹。
墓参りだかなんだかわかりませんが、とにかくこのヒマヒマ地獄に風穴が空くということがうれしく、おばさんを心待ちにしていました。
そしてその後の情報によると、わたしと同年代の孫娘のふみえちゃんもいっしょに来るとのこと。
わたしも姉も舞い上がりました。
こうなったら部屋を片付けたり、掃除を手伝ったり忙しくなる。
なまはげの春休みが、にわかにねぶた祭りの準備みたいになりました。

そうして、ある晴れた日。
豊中のおばさんとふみえちゃんはやってきました。
おばさんは、ひいおばあちゃんとそっくりなんだけど、若さと上品さがあり、かつてこの田舎で生活していたとは思えず、環境というものは人間にとって遺伝子よりもずっと顕著に人の見た目を変えてしまうものなんだなあと感じました。
もちろん、そのときは「都会にいてたら上品になるんやなあ」くらいの感想でしたが。

ふみえちゃんはわたしよりひとつ上、姉よりひとつ下。
ショートカットがよく似合う明るい女の子でした。
田舎のジャスコでは見たことのない、凝ったカーディガンを着ていたのを覚えています。
わたしも姉も人見知りするほうなのですが、ふみえちゃんが人見知りしない子だったので、すぐに仲良くなりました。
ふだんならそれほど近づかない田んぼや山やニワトリ小屋にふみえちゃんをつれまわし、わたしたちが考えうる田舎のよさをこれでもか、とアピールしたのでした。

そしてこれぞ田舎!をアピールするのにうってつけの機会が訪れました。
それは餅まき。
わたしの家の近くの山(といっても小高い丘くらいの高さ)に戦没者をまつる忠魂碑が建てられていて、その供養だかなんだかの餅まきが毎年春に行われ、それが明日だというのです。
ふみえちゃんはもちろん餅まき初体験。
わたしたちは興奮して、いかに餅を拾うことが楽しいか、そして難しいかを語り、明日になるのを待ちました。

餅まきの日。
みんな連れ立ってビニール袋を持ち、山に登ります。
忠魂碑のまわりにはすでにたくさんの人がいました。
こういうときのおばさんたちはすごく、餅拾い達人みたいな人がいて、すでに前のほうのいい場所をゲットしています。
時代はすでにひもじい戦後感はなかったものの、こういう戦いになるとアツくなるのがおばさん。
なぜか着物にもんぺ姿で戦いにいどみます。
餅が欲しいわけじゃなく、数をたくさん取りたいんだ!
もはや自分との戦いなんだ!
そういう猛者たちが笑顔の裏に闘志を秘めて、
「今日はええ天気ですなあ」
などと世間話に興じているのでした。

供養の儀式が終わり、餅まき開始。
最初はひとつ、ふたつ、とぱらぱら投げられていた餅が、やがてばらばらばらばらっと大量に投げられると、もうあたりは阿鼻叫喚。
下克上の世界が繰り広げられます。
猛者のおばさんたちはすでに座り込み作戦。
ここで、なぜ着物にもんぺだったのかというナゾが解けるのです。
おばさんたちは、着物のあわせの部分に餅を次々に放り込んでいるのです。
そして腰にぎゅっと紐を巻き、自分の上半身の前部分を袋にしている状態。
もんぺだから座りやすく、そのまわりに落ちてくる餅を一心不乱にふところにしまいこんでゆくのでした。
うひゃ~、すげ~。
と思っていると、その中のひとりがわたしのおばあちゃんだった。
とほほ。
おばあちゃんという人はふだん昼寝キャラとして扱われているのに、餅まきになるとがぜん張り切るのです。
まるで三年寝太郎だ。

さて、わたしたちはというと。
餅まきになると大人も子どももありません。
途中でキャッチされるとなすすべもなく、ふみえちゃんもわたしたちもあまりたくさんはとれませんでした。
けっこう難しいなあ、と笑いあったのですが。
おばあちゃんの大量確保によりわが家の餅事情は豊かさを保つことができたのでした。

そういう楽しいひとときはあっという間に終わり。
春風みたいにさわやかに、ふみえちゃんは帰ってゆきました。
「楽しかった!餅まきがいちばん、楽しかった!」
と笑顔を残して。
都会の子はええなあ。
こんななんでもないことを楽しいなんて言えて。
取り残されたわたしたちは、まだ残る春休みが祭りの後片付けの日々に思え、結局だらだらすごすのでした。

そんなとき、ふみえちゃんがブローチを忘れているのを見つけました。
ブローチなんて大人のつけるもの、と思っていたわたしたちにとって、それはものすごくうらやましい代物。
きっとふみえちゃんにとっても、それは大事なものに違いない。
わたしと姉は手紙を書いて、ブローチを同封しました。
封筒がかすかにぷくっとふくらみ、わたしたちの思い出も同封しているようでした。

そうして。
ふみえちゃんに送った手紙のことも忘れそうになったある日。
郵便受けに封筒を発見。
かすかなふくらみのある封筒。
あけてみると。


このブローチは 2014 3・25




わたしたちが書いた手紙とともに、ブローチがゴトっと出てきました。
表書きをよく見てみると、『料金が足りません』の表示。
なんのことを言ってるの?
とわたしと姉は不思議に思ったのですが。
よく見ると、わたしたちが貼った切手では、料金不足で配達できませんとのことでした。
しっかりしたブローチはけっこうな重さがあったので、50円(60円だったかな?)切手では足りないのでした。
そのときはじめて、郵便料金というのは重さで変わるものだと知りました。

あらためて切手を貼りなおし投函しました。
ふみえちゃんからは、ありがとうの手紙がすぐに届き、また遊びに行きたいと締めくくられていました。
その手紙が届いたときはとてもうれしく、姉とふたり、どっちがこの手紙を保管するかでしばらくもめたくらいでした。

それ以後、ふみえちゃんには一度も会っていません。
今どこにいるのか何をしているのか、まったくわかりませんが、
郵便料金が変わると聞くと、いまでもふみえちゃんを思い出してしまうのでした。


それでは~


とりぶう

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No title

4月3日・・・・
今日ハガキ50円で出しちゃったわぁ~
ヤバいねェ~
戻ってくるかしら・・・・

イノぶたさん。

あはは!やっちゃいましたか~!
どうなんだろう?
戻ってくるのかな?
そこはおまけで・・・ということに、ならないかな~!
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