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父の遺言

テーマ : 日記 ジャンル : 日記



みなさんこんにちは。

郷ひろみさんと結婚するということで、当時、激しく注目された二谷友里恵さん。



二谷友里恵 2014 8・1



すいません。

イラストが思ったよりもずいぶん似てないです。
でも若い人たちは知らないだろうから、オッケーだ。
いや、このブログ、そもそも若い人は読んでくれていないと思う。
まあ、それでもオッケーだ。

二谷友里恵さんにまつわるエピソードはいろいろあったはずですが、
わたしがいちばん覚えているのが、彼女の卒論テーマが、
『向田邦子作品におけるファザーコンプレックスについて』
だということ。
自分自身の卒論テーマすら、うろ覚えなわたしですが、
なぜかこれだけははっきり覚えています。
まるで、母校の校歌は覚えていないけど、野球が強かったので応援していた和歌山代表箕島高校の校歌は歌えるのと同じ。
向田邦子はファザーコンプレックスだったのだな、
と、向田作品は読んだことなかったけど、その事実はわたしの記憶にインプットされていたのでした。
そのころ、わたしは『ファザコン』というのは、お父さん大好きなひとたちなのだなと思っていました。
やさしいお父さんにかわいがられて育った幸せな人々だと思っていたのです。

しかし、そういう理解のしかたがひょっとしたらおかしいかもしれないという出来事がありました。
大学時代、アナウンサーになりたかったわたしは、テレビ局の主催するアナウンススクールに通っていました。
そこで朗読の授業があったとき、教材が向田邦子作品だったのです。
そのとき初めて向田作品を読みました。
おどろきました。
お父さん、怒ってばっかり!
わたしの父といっしょだ!
という感想しかありませんでした。
ファザコンとは逆のイメージ。
こんなお父さんだったら、嫌いになるはずだ!と思わせる内容でした。

わたしはその朗読で、先生にほめられました。
絶賛されました。
そのスクールであとにも先にも褒められたのはそれだけだったので、よく覚えています。
ふだんは、無声化ができていない、鼻濁音がダメだ、とダメ出しのオンパレード。
劣等生感をびしびし感じていたので、そこでほめられたことはとてもうれしかったのです。
先生は、わたしがお父さんのセリフを読むのが上手だとおっしゃり、
「やたらと声を荒げて怒るのではなく、淡々と感情を押さえて怒るというのがよく出ています」
と評価してくださったのでした。
しかし向田邦子はファザコンということが、ずっと納得いきませんでした。
怖いお父さんの影をひきずっているということであれば、わたしもファザコンということになるじゃないか。
当時、できるだけ父とは距離を置いておきたいと思っていたわたしは、向田邦子のエッセイに登場する怒りんぼの父が、娘たちを愛していたという結論に達していることが、はなはだ理解不能だったのでした。

7年前。
宮古島に移住して、しかちくとふたりで立ち上げた仕事は、まだ先が見えませんでした。
やっていけるかどうか見通しも立たず、やみくもに一日を終えていました。
皮膚を剥かれたむきだしの肉に、塩を塗られるようなひりひりした痛みを感じる毎日。
そんな7年前の今日、8月1日。
父がなくなったという知らせがきました。
生まれ故郷の和歌山からはるか遠くの沖縄県宮古島。
わたしは扇風機の前で涙を流したことを覚えています。
そのころのことは、まだいい思い出にするにはつらく苦しいのが本音です。
わたしがナニモノかになる前に、いちばんみっともない姿のときに、父がなくなった。
自慢できない娘でごめん、と思いました。

それでも、いまは少し違った感情を持つことができるようになりました。
小学校低学年のころ。
夏休みは、わたしは風通しのよい仏間で、父と布団を並べて寝ていました。
応接間にある唯一のクーラーは、来客があるときにだけ稼動し、ふだんは扇風機だけでやりすごしていたのですが、
まだ熱帯夜もすくなかったあのころは、それでも十分でした。
そのときの恒例行事として、布団に入ってから、父はわたしの手を握り、
「とりぶう、がんばれよ」
とぎゅうっとするというのがありました。
わたしは渾身の力をこめて、
「がんばるよっ」
と握り返すのでした。
父が痛がるくらい力強く握り返したい、と思うのですが、父は涼しい声で、
「そうか、がんばれよ」
と言うのでした。
お調子者で気分屋でよく怒る父でしたが、そのときは頼もしいと思いました。
お父ちゃん、あたしがんばるで。
そのときだけは心底そう思ったのです。

子は親を選べない。
ハズレくじみたいな父だったと思ったこともありました。
それでもこのブログでも何度も父のエピソードを書くということは、わたしもファザコンなのかもしれません。
父の最後の瞬間には立ち会えませんでしたが、ひとつも後悔していないのは、
きっと、
「がんばれよ」
とあのとき言った父のことばを、いまだに忠実に実行しているという自負があるからだと思います。
握り返す手はないけれど、わたしは渾身の力をこめて毎日がんばっている。


それでは~


とりぶう

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さたぱんさん。

ご訪問ありがとうございます~!!
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