いもうと考ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  いもうと考 


いもうと考

テーマ : 日記 ジャンル : 日記


みなさんこんにちは。

和歌山実家一行が宮古島に来た話のつづきです。

母を連れてやってきた妹と、わたしは4歳違い。

わたしが高校を卒業して家を出たときは中学生で、

わたしの中の妹像はそのときのまま止まってしまい、上書きされることなく、いつ見ても、そのころをを思い出してしまう。

いえ、むしろもっと小さかったころ、小学校のころの記憶が思い出される。

もう立派なアラフォーなのに。

妹にしてみたら、いつもわたしに、

「小学校のころ、授業中騒ぎすぎて机ごと廊下に出された妹」

としてばかり思い出され、

「なんだかなあ」

という苦い思いばかりに違いなかろう。

同じ時間をすごしても、記憶というものはそれぞれの立場で違う。

わたしにとってみたら、怖い思い出ばかりの父も、妹にしてみたら、

「あんまり怒られることもなかった」

になるし、ひいばあさんにいたっては、わたしが、

「むしろ嫌な思い出ばかり」

なのに対し、妹は、

「めっちゃかわいがられた」

となる。

たしかに、4人きょうだいの末っ子である妹は愛嬌があり、人に好かれやすい。

反して、わたしときたら常に仏頂面で愛想もクソもなかったふてくされものであるから、それはいたしかたないともいえる。

しかし妹の言うところによると、わたしは「しっかり者」であり、「なんでもよくできる姉」だったらしい。

机ごと廊下に出された事件も、わたしが目撃したのだけど、親に言いつけるというふうな報告のしかたではなかったので、怒られることもなく笑い話になったのでありがたかったらしい。

ええ姉やな、あたし。(自分でいうな)

その当時の自分のことはすっかりわすれててもったいない。

それよりもわたしは18まで生きにくさしか感じてなかった。

なんで自分はこんなにも素直になれないのだろう、なぜうまくできないことばかりなのだろうと思って、焦りといらだちのミルフィーユの中で生きていた。

「しっかりしてる」と言われると、泣き言などはだれにも言えない。

泣き言の部分をものすごく分厚いフタで覆って、見ないようにして生きてきた。

悩みなどないふりをした。

強い自分を作ろうと必死だった。

何に対してかわからないまま、今に見ておれ、という思いでもがきながら生きた。

多かれ少なかれ、若さとはそういうものだ。

それでも、その自分が今の自分を助けている。

分厚いフタをして気持ちを押し込めるかつての作業がわたしを救ってくれるときもあり、

今はずいぶん生きやすくなった。

しっかりしていない自分をふんだんに出して生きてる。

年をとるってそういうことだ。

今日などは、ジョギング中、あまりにもしんどいので途中で歩こうということになった。

わたしが近道を提案すると、しかちくに却下された。

腹立たしいので、「きーっ!」となってしかちくの背中をたたいた。

するとしかちくは、

「おんぼろとりぶう」

というではないか。



おんぼろ 2016 8・18



なぬ!

と思った。

思ってギャーギャーわめいた。

しかし、たしかにおんぼろであると笑えてきた。

かつてのわたしなら、もっと強がりを言っていただろうなあ。

今は怠け者キャラが定着してしまっているのに。

今では妹のほうがずいぶんしっかりしてると思う。

わたしがなかなか和歌山に帰れないでいても、安心できるのは妹のおかげなのである。

お墓や仏壇を守り、親戚付き合いをし、地域の山の下草刈りに行き、畑でトラクターを使う。

妹はかつて、母がしていたことだけでなく、父が担っていたこともしてくれている。

わたしにはとうてい無理だと思うにつけ。

それは地元に愛された者の特権でもあるのかもしれない、と少し妹をうらやましくも感じる。

妹は、今回の宮古島旅行で、やりたかったことができ、食べたかったものも食べられ、ほんとうに楽しかったといってくれた。

人一倍気を遣う妹のことであるから、窮屈なこともあっただろうけど、その言葉は言葉どおりに受け止めたいと思う。

そして、子どものころは怠け者キャラといえば妹だったのだけど。

今、自分が怠け者キャラとなってわかったことがある。

それは、まわりのみんなありがとう、という思いがわいてくるということ。

怠けさせてくれてありがとう、とでもいうか、怠け者だけどののしったりしないでくれてありがとう、というような気持ち。

ひょっとしたら、妹はむかしからそれを知っていたのかもしれない。

いまではまるで怠け者ではないけれども、そのときの気持ちが彼女をつきうごかすのかもしれない。

みんなありがとう、という気持ち。

わたしがそんな気持ちに到達するのはものすごく大人になってからだったけど、妹は子どものころからひょっとしたらわかってたのかもしれない。

お土産にもってきてくれた酸っぱい梅干を食べながら、そんなことを考えたのだった。

つづく

それでは~


とりぶう

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