こんなとこにキョンキョン! ~B面の旅 沖縄・夏 (6)ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  こんなとこにキョンキョン! ~B面の旅 沖縄・夏 (6) 


こんなとこにキョンキョン! ~B面の旅 沖縄・夏 (6)

テーマ : 日記 ジャンル : 日記



みなさんこんにちは。

道路でヤンバルクイナに出会うことはできなかったけど。
生きてるヤンバルクイナに出会える場所が一か所あるという。

「ヤンバルクイナ生態展示学習施設」というのがそれ。
せっかくだから行ってみよう、ということで訪れたところは。
同じ敷地に、ゴルフとグラウンドゴルフをまぜたような小ぶりのゴルフ場がある。
カンカン照りの日差しの下、けっこうな高齢の男女がゴルフに興じていて、
「とりちゃん、おじいとおばあがあんなにがんばってるのに、へたってたらあかんで」
「しかちゃんこそ」
とお互いおじいおばあの元気ぶりに舌を巻くのであった。

入場料500円を払って施設に入ると。
大きなガラス張りの展示室があった。
なかなか立派な展示室である。
しかし。
なにもいね~。
鳥の姿が見えね~。
てっきりヤンバルクイナたちがぞろぞろ列をなしてると思ってたので、拍子抜けだった。

6、7人の人がいて、係の人の説明を聞いている最中だった。
「ここにいるヤンバルクイナは1羽です。
キョンキョンといいます。偶然発見された卵を孵化させて生まれた5羽のうちの1羽なんですよ。
ヤンバルクイナは縄張り意識が強いので、このくらいの広さでも一羽かつがいしか飼えないんですよ。
今は婚活の真っ最中で、ああやってキョンキョンも葉っぱあつめてなんたらかんたら・・・」
ああ、なるほど~。
わたしは他人に対する説明で納得した。

ガイドはありがたいものだ。
と、この旅行中、何度も思ったものだ。

係の人は「お姉さん」というには人生いろいろな感じの、わたし以上、わたしの母未満くらいの年齢の女性。
ヤンバルクイナ愛があふれてた。
単なる受付の人と思ってたけど、愛がすごすぎるんじゃ。
アイドルのマネージャーみたいなキョンキョン押しの人だった。

ヤンバルクイナは保護色になっていて、なかなか見つけづらい。
が、たまたまわたしたちが見に行ったところにちょこちょこ歩いてくるではないか。
写真で見るヤンバルクイナは、目とクチバシと足の赤さが少しどぎついような気がして、正直、
「かわいくない鳥なんだろうな。でも珍しいから保護してるのだろうな」
とすら思ってた。

が。

歩いてきたキョンキョンは、背中がふんわりと丸くて、目がつぶらで、鳥独特のあのゆったりしたひょこひょこした歩き方で、
思わず、
「かわいい!」
と口に出た。

「キョンキョン!」
「キョンキョン!」
まわりで起こるキョンキョンコール。

まさに、キョンキョンはアイドルなのであった。



アイドル 001




わたしたちがキョンキョンに見入っていると、さきほどの係の人がやってきて、いろいろ説明してくれた。
「キョンキョンは人間に育てられたので、野生には返せないんですよ」
というものの。
「でも飼育員にはなついてるんですよ」
と、じゃっかんうれしそう。
返せたとしても返すつもりはないんじゃないかと思われた。

キョンキョンは女の子で婚活中で彼氏が外に(野生)いると教えてくれた。
この外までやってくるんですよ、彼氏が。
でも残念ながら彼氏は中に入ることはできないんです。
かわいそうだけどしかたないんです。
ところで、ヤンバルクイナは生涯同じ相手とつがいになるんですよ。
ときどき鳴いてます。
キョキョキョキョキョー
と高い声で鳴きます。
そう、だからキョンキョンという名前なんですよ。
100年前にもっと人々に知識があれば、ヤンバルクイナもこんなに減ることはなかったんです。
え?
何があったかって?
ハブの駆除のためにマングースをね、持ち込んだんです。
ところがね、ハブは夜行性。
マングースは昼行性。
マングースはハブを狙うかわりに、そう、ヤンバルクイナを狙ったんですよね。
だから劇的に数が減っちゃった。
あと、猫や犬。
ヤンバルクイナはかっこうの獲物なんですよね。
ヤンバルクイナは寝るときは木の上で寝るんですよ。
ハブを避けるためにね。
でもハブも木に登れるから、ねえ。
ふふふふ
うちのキョンキョンはお嬢さまだから、木登りが下手なんです。
だから、ほら。
登りやすいように木にロープを巻いてるでしょ。

係の人はそういうことをよどみなく教えてくれた。
きっと来る人来る人みんなに口上のように述べているのだろうな。
大好きなアイドルを語るような熱のこもりようだった。

そういえば。
ター滝の近くでイタチらしき動物が走り出てきたのを見たけど。
きっとあれはマングースだったのだな。
なかなかかわいいやつだった。
その後、マングース捕獲中と書かれた車をたくさん見たのから考えると、マングースたちをかわいいと思うひとは少ないように思われた。
マングース捕獲の成果もあってか、かつて1000羽もいなかったヤンバルクイナの数が1500羽くらいまで増えてきているという。

マングースも生きるに必死なんだろうけど。
世の中は少ないものが守られる図式になっている。
もし、マングースが絶滅の危機に瀕したら。
そのときはじめて、マングースが守られるのだろう。

外に出ると、しかちくが、
「聞いて、この鳴き声!」
と言う。
遠くのほうから、
キョキョキョキョキョー
という鳴き声が聞こえた。
「あ!これ、彼氏ちゃう?」

すると、いま出てきた展示室の中から、
「キョキョキョキョキョ―!」
と呼応する鳴き声が聞こえた。
お互い呼び合ってるのか何かを伝えあっているのか。
しきりにキョキョキョキョが響いていた。

「かわいそうになあ」
「ほんまやなあ」

外に出て苦労するのが正しいのか、
中で保護されるのが正しいのか、
わたしには答えが出ない。

炎天下の中、ゴルフのおじいとおばあのつがいが、(つがいて)
「はははははー」
と笑いあっていた。

つづく。

それでは~


とりぶう

少しでも面白かったら、下をクリックで応援よろしくお願いします。とりぶうの絵が踊るよ!
FC2Ranking にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ blogranking 人気ブログランキング【ブログの殿堂】 クツログ
ショートショートとりぶうの読むコントの応援をお願いします。
あしたも、お待ちしております。! ブログパーツ 健康食品

コメントの投稿

非公開コメント

     カテゴリ

     登場人物
登場人物 とりぶう 登場人物 しかちく
とりぶう=わたし しかちく=夫 
登場人物 うさQ 登場人物 カメ氏
姉=うさQ 弟=カメ氏 

     最近のコメント

     最新記事

全記事表示


     月別アーカイブ

     携帯でどうぞ
QR

     おかげさまです