でけえっ! ~吠える!ホーエルウォッチング(5)ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  スポンサーサイトでけえっ! ~吠える!ホーエルウォッチング(5) 


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でけえっ! ~吠える!ホーエルウォッチング(5)

テーマ : 日記 ジャンル : 日記



みなさんこんにちは。

ホエールウオッチングの5回目、最終回です。

クジラの出現からすぐにブリーチングという大ワザ(体の3分の2くらいを出してジャンプするやつ)を見てしまうと、それ以外のワザがしょぼく見えてしまう。

スタッフのお姉さんがいうには、クジラが見つからないときは1時間半くらいず~っと探し回るというので、それに比べたら2匹のクジラが交互に見え隠れするその状況は贅沢なものといえた。

みんながそれぞれ「あっち!」「そっち!」と見つけてはさけび、見つけてはさけびする。

わたしは自分で一番に見つけたものがなかったので、くやしさがつのるのだった。

しまいには「あっち!」とウソでも言ってやろうかと思った。

そして「アホが見~る、ブタのケ~ツ」と言ってやろうか。(自分がいちばんのアホや)

ところで。

見えるクジラは、どれもこれもが「尾びれのみ」とか、「背びれのみ」とか見えるだけのワザ(?)。

正直、「またそれか」と思ってしまう。

わたしぐらいのウォッチャーになると、それくらいだったらもうおどろかんジラね。

尾びれや背びれだけだったら、もう「お~」と叫ばんジラね。

にわかウォッチャーのくせに、プライドだけは一流である。

しまいには、

「出し惜しみするな!もっと見せろ!」

と叫びそうになった。

場末のストリップ劇場の下品な客の気持ちがよくわかるのであった。

おまけに2匹のクジラは9時と3時の方向にいたりする。

「あっち」と聞けば9時を見て、「そっち」と聞けば3時を見る。

その繰り返しであった。

そうしているうちにもうあと一回見れたら戻ります、と告げられた。

ああ、まあ、これくらいか。

ブリーチングが見えただけでも超ラッキーなんだから。

そう思っていると。

わたしたちの船の横、数メートルの水面下に、黒い影がす~っと通る。

先端が丸くでかく、巨大なアザラシの頭のよう。

「・・・あ、あ、わーーーーーーーーっ!!!」

わたしは叫んだ。

叫んだというより、吠えた。

クジラはゆったりした動きながら、確実なスピードで船の横をぐ~~~んと泳いでいった。




でけえっ! 001





どきどきするくらい、でかかった。

船内のひとたちがみんな、おーーーーと吠えた。

クジラはたくさんの船のあいだを縫って、悠々ともう一匹のクジラのほうへ泳いでゆくのだった。

その大きな姿を真横で見ることができたのは、たくさんの船の中でもわたしたちの船だけで、それも2階部分にいた人だけで、これはすばらしいラッキーというしかなかった。

「でかかったな!」

「ほんま、でーーっか、かった!」

わたしたちは口々にいかにクジラがでかかったかを語り合った。

そしてそのクジラを真横で見ることができたラッキーを語り合った。

それはブリーチングよりも感動的な出来事で、わたしにとってみたら一番先に見つけたのがそれだったのがうれしく。

「あっち!」とうそを言わないでおいてよかった、と思った。

野生に生きるもののでっかさというのは、こちらが生命の危機を感じるくらいのもので、それは津波とか洪水のような、もうひれ伏すしかないような怖さでもあった。

それが畏怖という感情なのかもしれない。

船長さんがいうには、いま通り過ぎたのはオスのクジラで、向こうにいるのがメスクジラだろうとのことだった。

この広い海でパートナーを見つけ、繁殖を繰り返し、子孫をつないでゆく。

クジラたちは、もうすぐ北の海に向けて出発する。

人間だったら泳いでなどとうていたどりつけないような遠いところまで、彼らは泳いでゆくのだなあ、と思うと。

クジラたちにとってみたら、ホエールウォッチングの船たちは、いわば頭のまわりを飛び回るハエのようなものなのだろうと思った。

水面に見えたでかいクジラのことは、そのあとも時々思い出す。

思い出しては鼓動が速くなる。

「頭が丸かったな」

と思ってはにやにやしてしまう。

まるで大好きなアイドルに話しかけられたみたいな気分。

正直なんの期待もしていなかったホーエルウォッチングが、ものすごく得がたい体験となった。

そして得がたいがゆえに、もうホエールウォッチングはしなくてもいいかな、と思っている。

二回目でがっかりしたくはないのだ。

しかちくもうさQも帰りの船の中でうつらうつらしていた。

わたしはしかし、この海のすぐそこでまだあの大きなクジラたちが泳いでいるという興奮をかみしめていて、余韻に浸っているのだった。

おわり。

それでは~


とりぶう


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