分け入っても分け入っても ~沖縄のてっぺん、於茂登岳 (3)ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  分け入っても分け入っても ~沖縄のてっぺん、於茂登岳 (3) 


分け入っても分け入っても ~沖縄のてっぺん、於茂登岳 (3)

テーマ : 日記 ジャンル : 日記




みなさんこんにちは。

於茂登岳に登り始めて20分ほど。
ようやくひとりの登山者に遭遇。
30代半ばくらいの男性である。

わたしたちよりもひとまわりほど下であるはずなのに、
「どうぞお先に」
と道を譲ってくれる。

譲ってくれなくてもいいのに・・・
とはいえず。
わたしたちは気持ち足早に登るのであった。
その人は以前にも登ったというが、
「頂上までは行ったことがないんで」
という。

せっかくここまで来て、頂上に行かないなんて、なんで?
と疑問に思ったが。
中肉中背よりも、ちょっと肉勝ちな彼にとって、(大きなお世話)
20分登るだけでも大変な労力だったのかもしれん。

しかちくはしきりに、
「ひとりだったら絶対来えへん」
という。
たしかにうっそうと茂った森また森また森。
ときどき落ちたら最後、と思えるような細い道をゆかねばならない。

「滑落事故」
という文字が頭の中でぐるぐる回る。

「うかつに登山した40代の夫婦がうっかり滑り落ちる」
という新聞記事が浮かぶ。

30代の中肉というよりは肉勝ちな男性が、
「たしかにうかつなテンションで登山してましたね」
と証言。
「うっかりはん」としてレッテルを貼られるわたしたち。

それだけは避けなければならない。
用心に用心を重ねて登ってゆく。

なのに、滑る。
ず~っと緊張感を保ったまま登っているにもかかわらず、滑るのである。
そのたびジーンズは泥だらけ、靴はべたべた。
泣きたくなる。

「もう半分くらい来てるんかな?」
と言ってると、分岐点に来る。
左に行くと滝、右に行くと頂上。

わたしたちは頂上を目指すので、右に行く。
「きっともうすぐだ」という思いがわたしたちの足を動かすのであった。

しかし行けども行けども頂上にたどり着かず。
「ほんまにこっちであってるんかな?」
と不安になる。
すると、ひとつの石に白いペンキで上向きの「↑」が描かれている。
「ここらへんで不安になる人が多いんやろな」
ということがよくわかるのであった。

更にしばらく行くと、
「この先最後の給水ポイント」
とあった。
給水ポイントと言っても自動販売機があるわけではない。
あるのは沢。
その沢の水を飲め、ということだった。

疲れて言葉もなかったわたしたちは、水筒に水を汲んでひといきつく。
「さすがにもうちょっとやろ」
「なあ」
リフレッシュしたわたしたちは気持ちをあらたに歩いてゆくのだった。

が。

最後の給水ポイントから何分歩いただろうか?
ひょっとしたら20分くらいかもしれないが、山登りの20分はめちゃくちゃキツイ。
それでもまったく頂上に着かない。
だんだん道は細くなり、まわりに細い竹みたいなのがわんさかわんさか生えていて、ときどきつきささって痛いのなんの。

まさに、分け入っても分け入っても青い山、なのだった。




分け入っても分け入っても 001





登山口でうるさいくらい聞こえていたセミの声はなくなり、かわりにまわりが真っ白である。
「いま、雲の中にいてるんやろな」

途中で雨が降ってきてた。
寒い。
しんどい。
寒い。
つらい。
痛い。
寒い。

修行僧が山に登る意味がよくわかる。
わたしたちはほとんど会話もなく、もくもくと登ってゆくのだった。

そしてようやく、看板を発見。
すぐに頂上か!
と思いきや。

「スリップ注意!」
の看板だった。

「わかってるし、もう遅いよ!」

と叫びたかったが、その気力もなかった。


つづく。


それでは~


とりぶう

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