天気予報
作品No.(340)
「ほんとにナツミのやつは人づかいが荒いさね〜。日曜日に買い物させるなんて、どういうことだよ。
自分はまた趣味でボランティアに行ってるくせに。それも町会長のちょイケメン息子目当てに。
お、アイスうまそう。これ買ってこ。これぐらいしてもいいさね。
ナツミのやつ、太るからアイスは食べるなってうるさいからな。自分も太ってきたくせに。」
ミヤコさんはぶつぶついいながら、カゴにアイスを入れる。
レジを済ませて出てきたところで、ちょうど小笠原さんの姿を見かける。
「あれ?小笠原さんだ。あんな亭主関白の人でも買い物するんだな。」
ミヤコさんは小笠原さんに近づいてあいさつする。
「いやあ、こんにちは。意外なところで会いますね。」
「これはミヤコさん。お買い物ですか?」
「ええ、そうなんです。うちのやつ、人づかいが荒くって。
あれですか?小笠原さん、奥さん病気かなんかですか?」
ミヤコさんが何気なく聞く。
「いえ、一緒に来てます。」
小笠原さんは三歩うしろにいる奥さんのほうを見る。
「こんにちは。南の島地方、今日は最高気温25度。午後ににわか雨がふりますわ。」
小笠原さんの奥さん、みやびさんはにこやかにあいさつする。
「あ、ああそうですか。これはこれは・・・。あははは、天気予報にお詳しいんですね。」
ミヤコさんはぎこちなくあいさつする。
「最低気温は18度。すごしやすい気温ですわ。」
みやびさんは嬉しそうに言う。
「うちの家内はなんにもできないものですから、せめて天気予報くらいは、と思いまして・・。」
小笠原さんはちょっと照れる。
「ああ、それはいいことですね。あははは。」
ミヤコさんはあいまいに笑う。
「はい。ニューヨークは今日も天気。シドニーは曇りのち雨。カイロは晴天が続きますわ。」
「みやび、あれもお聞かせしなさい。」
小笠原さんが重々しく言う。
「はい。北極の氷がきょうもすこし、とけていますわ。ただ・・・。」
みやびさんの顔がくもる。
「ただ?」
ミヤコさんが聞き返す。
「ミヤコさんが、買ったアイスがとけて、買い物袋の中がなだれ警報ですわ。」
みやびさんは悲しそうな顔で言う。
「うむ。みやび、ミヤコ家、今日はくもりだな。」
「奥さまの雷注意報ですわ。」


あしたも、お待ちしております。!

