魔人・最強の願い事
作品No.(344)
「高田、高田、とうとうやったよ!例の花瓶だよ〜!これで勝ち組になれるぞ!」
大興奮のヒトシが、学生食堂でラーメンを食べている高田の横に座る。
「うそっ、まじかよっ!?すっげー!ちょっと見せてみろよ!」
高田はヒトシのかばんをひったくる。
「おい、気をつけろ!大事に扱えよ!オレたちの人生がかかってるんだからな。」
ヒトシは口をとがらせる。
「こぉれかあ。たったひとつの願いを叶えてくれる魔人が入ってる花瓶は・・・。」
高田はかばんのなかの汚い花瓶をなでまわしながら言う。
ふたりは花瓶のうわさを聞いてから、いつか自分たちのところに回ってきたら、なにをお願いするかずっと考えてきた。
それは『いくつでも願い事を叶えてくれる魔人』を出してもらうことだった。
たったひとつだからダメなんだ。イザと言うときに失敗するのはたったひとつしか願いを聞いてもらえないからなんだ。なら、いくつでも願いを叶えてくれる魔人を出せばいいんじゃないか?
このことを考え付いたとき、ふたりは興奮した。人生勝ったも同然だと思った。
もてなくて、金もなくて、つまらない三流大学生活ともおさらばだ。
あとは花瓶を手に入れるだけ。そうして、いまやっとそのときが来たのだ!
ふたりはヒトシのアパートで決行することにした。
「いいか?」
ヒトシはちょっと震えた声で聞く。高田は無言でゆっくりうなずく。
「よし。ふう〜。」
ヒトシは大きく深呼吸をする。
「魔人よ、お願いだ。いくつでも願い事を叶えてくれる魔人を出してくれ!」
ヒトシはゆっくりはっきり言った。ふたりはじっと花瓶を見つめる。
花瓶がかすかに揺れて、中からしゅるしゅるっと大男がふたり現れた。
ヒトシと高田は声も出せず、目を見開く。
「は〜い。ご主人様。連れて来ました。これがその魔人でございますよ〜。」
大男の魔人が、もうひとりの魔人を紹介する。
「こ、こんにちは〜。」
もうひとりの魔人がちょっとはにかみながらあいさつする。
「彼は、いくつでも願いを叶えてくれるんですよ。すごいでしょ?」
「いや、まあ、そんな、は、はずかしいなあ。」
いくつでも願いを叶えてくれる魔人が、坊主頭をしきりになでる。
「さ、これであなたのたったひとつの願いは叶えられました、ご主人様!」
魔人はうれしそうにそういうと、しゅるしゅるっと中に戻っていった。
続いてはにかみやの魔人も「じゃ」と言って、しゅるしゅるっと戻っていった。
「え・・・・。ちょ、ちょっと待てよっ!連れて来ただけかよ!おーいっ!連れて帰るなー!」


あしたも、お待ちしております。!

