特別枠
作品No.(352)
「タマヨの高校の野球部は、甲子園行けそうとかいう情報ないのか?」
ミヤコさんがニュースを見ながら聞く。
「えー、うちの高校?
ありえないよ〜。いっつも一回戦で負けてるんじゃないの?」
タマヨが眉毛を整えながら答える。
「ほら、21世紀枠とか希望枠とか、そういう特別枠に引っかかったりもしないのか?」
「はあ?何それ?」
タマヨは鏡とにらめっこしながら聞く。
「タマヨはほんとに何にも知らないさね〜。
選抜高校野球でさ、特別に出してもらえる枠があるんだよ。
たとえば部員16人しかなくって、全員地元出身なんだけど、県大会でいいところまで行ったとか、
めちゃめちゃ進学校だけど、野球部ががんばってるとか、
そんな高校が選ばれるんだよ。」
ミヤコさんが力を込めて言う。
「ああ、ないね。
だいたい、うちの高校って、なんでも中途半端だもん。」
「だろうな〜。父さん一度でいいから甲子園で応援してみたいんだよなあ。」
「行けばいいじゃん。」
「自分に関係ない高校応援してもおもしろくないんだよ。
自分の母校とか、子供の通ってる高校とか、そういうのを応援したいんだよ。」
「あ、わかる〜。
そのナントカ枠もさあ、もっと全国高校生の気持ちを考えて欲しいよね。
だいたい、高校野球って出てくる高校いっしょじゃん?
そんなのおもしろくないからさ、前回出た高校は次回だめ、とかさ。
全国の女子高生が選ぶイケメンぞろいの野球部枠、とか。」
タマヨが楽しそうに言う。
「おお、そういうのいいかもな。
おもしろいことをいっつもやってくれる野球部の枠、
その名も『わく枠』、とかな。」
ミヤコさんはひとさし指をたててうれしそうに言う。
「それ微妙だなあ。」
タマヨが笑いながら顔をしかめる。
「塁に出たら、いつもギャグを言う野球部っておもしろいだろ?
セカンドへ急かんどー、とか。サードへさあどうぞ、とか。
な?どうだ?おもしろいだろ、あっはっは!」
ミヤコさんは自分のギャグに大うけする。
「・・・それは『めい枠』だね。」


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