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母の信用

テーマ : エッセイ ジャンル : 小説・文学
(478)

子どものころ、足に小さなやけどをしました。

ぷくっと小さな水ぶくれになったやけどを見て母は言いました。

「それ、むりやりつぶしたらあかんで。小さくなるん待ってから、あっ。」

言いながら母の爪がわたしの水ぶくれをつぶしました。

「ああ~~!お母ちゃんがいまつぶしたらあかんって言うたのに!」

わたしはつぶれた水ぶくれの跡をふーふー吹きながら、泣きそうな声で言いました。

母は別段悪びれた様子もなく、ごめんごめんと笑っていました。

お母ちゃんは信用できん。

そのときわたしは思いました。

そして先日。息子が、いままででいちばんしんどかったことを教えてやろうか、とわたしに言いました。

それって、あんたが産まれるときちゃう?あのときはあんたも頭挟まったまま、しんどかったやろなあ。

(覚えてるわけないやろ)などとわたしが思いめぐらせていると。

「あのな、ぼくが2歳のときに高知へキャンプに行ったときな。海で泳いでたとき、おっきな波がばっしゃーんって来てな、ぼくは飲み込まれてん。

ほんでな、砂の中に埋まってしまってな、お母さんに『助けてー、助けてー』って言うたんやけど、お母さん、ぜんっぜん、助けてくれへんかった。あのとき、ほんっまに死ぬと思った。」

と興奮して言います。

ちょっとそれは大げさやで。わたしはそのときのことを思い出しました。

高知市と四万十川のちょうど中間地点にあるそのキャンプ場は、広い砂浜があり、わたしたちのお気に入りの場所でした。

その海はいつも波が高く、サーファーもけっこう見かけました。

わたしと息子は波打ち際で遊んでいたのですが、いきなり大きな波がぶわっとわたしたちを飲み込みました。

わたしはあわてて息子を引き上げようとしたのですが、わたしも足をとられて思うように動けません。

そのうちにまた波がやってきて、足をずぶずぶ砂にはめてゆきます。

わたしがようやく息子を引き上げたとき、彼の頭は砂まみれでした。

わたしは『うわあ、砂まみれやな』と笑いながら砂をはらってやりました。その間1分くらい。

でもそれはわたしの側の記憶。息子にとってみたら、

「お母さんはずっと笑ったまんま、何にも助けようとしてくれへんかった。」

ということになるのでした。

そして彼の記憶は、しゃべるたびに新たな事実がくっついてドラマチックになってゆきます。

波は見たこともないくらい高く、砂は口のなかに大量に流れ込んできて息はできない。

なのにお母さんは悪魔のように笑ったまんま・・・。しまいには思い余って『お母さんがぼくを砂にはめた』と言う始末。それは事実誤認やろ!

わたしが反論しても、息子の中で『悲劇のぼく』は増長するばかり。

そして人にそれを言っては、『お母さんは信用できへん』と新たな憤りを発生させているのでした。

まったくもう。子どものとき思った『お母ちゃんは信用できん』というのが、はからずもこういう形で自分に戻ってくるとはなあ。

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hahahaha!!

なーるほどねー
時は流れます・・・そして繰り返すんですね!!
記憶って 尾びれ背びれついちゃって
おいおい! って言いたくなるね!!

はじめまして

記憶ってかなり怪しいですね~(苦笑)
良い意味でも悪い意味でも美化されて
いくんですね。
だから良いんだッてときもあるけど。

大方の海水浴場ですか?

記憶…は、ほんと不思議ですよね。

今の記憶を一応書き留めておいて、
また数年後聞いてみたら
どれくらいギャップがあるのでしょうねぇ。

私にもあります、母は信用できない!と思った瞬間。
私に一番性格が似ていると思う長男が、やっぱりおなじようなことを言いますね。
不思議だ。。。。。。

(^▽^笑)キャハハ♪

あるねぇ~そういうこと!
私も子供の頃に「家の母親は信用出来ない!」と思った事がありました。

たいした事じゃなかったんですが、
時間の経過と共に、何やら一大事みたいな感じになってしまってますねぇ!

幸か不幸か子供がいないので、
恨まれる事はないけど・・・・・・
でもきっと繰り返されるんでしょうね!

そうやって親になっていくのかなぁ?

 ああ、私もありますよ。
従兄が海で泳ぎを教えてくれたとき、
足のつかないところまで、無理矢理連れて行かされ、その時「殺される」と思った記憶が未だにありますもの。

うーん、かなりリアルな体験ですね。わかりますよ。親子ともども、言ってることは間違いないでしょう。

こんにちは
2歳の時の記憶があると言うのは
それは凄まじい記憶として残っているんでしょうね。
私は好き嫌いですね。
なんでも食べなさい。
好き嫌いしないの。
母:このボソボソした感触のパイって洋菓子嫌い。
エッ、好き嫌いしちゃイケないっていつも言ってるのに。
と思ったものです。

私は

親に不信感などありません(^_^)/

この世で一番信用できないのは自分ですw

Hug

こんばんは、とりぶうさん。
遊びにきました。
せっかくなので、お子様が思い出した時に、お母上がどのように感じていたか、思いのシェアとして口頭でいいので、説明してあげるとよいのでは?感じました。そして、愛してるよ~と抱きしめてあげてあげて、ほしいとも思いました。すいません、感じたままを書いてしまいました。失礼ありましたら、お許しください。

ありますね~

こんばんわ、とりぶうさん。。

自分が大きくなって感じますね、この感覚。。
事実とは異なる子供の言い回し・・
そんな気持ちは、ぜんぜんないんやけどね。
これが、大人の勝手って言うもんなんでしょうか???

懐かしい思い出、ありがとうございま~す!!
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