宮古島無人島から涙の生還(3)ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  宮古島無人島から涙の生還(3) 


宮古島無人島から涙の生還(3)

テーマ : 日記 ジャンル : 日記
(633)

泳ぐのにじゃまになるので、それぞれサンダルはぬぎます。

わたしは自分のサンダルを水着の短パンのなかに押し込み、しかちくは子どもの分もふくめて三人分のサンダルを水着のパンツに押し込みます。

「ええか。ゆっくりふ~わ~、と泳いでたら、ぜったい、向こう岸に着くからな。

力入れすぎたらあかんぞ。ゆ~っくり、な。もうあかんとなったら言うんやぞ。」

しかちくは「ゆ~っくり」を強調しながら先頭で泳ぎはじめました。

続いて、息子、娘、しんがりがわたし。

普段おだやかな宮古島の海も、そのときばかりは波が高くて泳ぎにくく思えました。

力を抜けといわれても、親のせっぱつまった顔を見せられたら、そうもいかないもの。

預金残高がゼロなのに、さあおまえたち、なんでも贅沢しろと言われるようなものです。

子どもたちはあごを必死に上げながら、しきりに手足を動かします。

わたしはうしろから「ゆ~っくり、ゆ~っくり」と励まします。

これくらい魚ならなんでもないことだよ、というような軽い口調。
(魚ならな!)

しばらく泳いだとき、しかちくがうしろの息子に「大丈夫か?」と聞きます。

ところが息子は「もうあかん!」ともがきます。

ええ~!大変なことになった!

わたしの脳裏に、小学校一年生の夏、池でおぼれて死んだ同級生の顔がうかびます。

待って、待って、こんなとこで終わるのはあかん!せめてせめて、次の誕生日、欲を言えば、80年後の誕生日くらいまで生きさせてやって!

そのとき。

「足ついたっ!」

しかちくが叫びました。

それは財布が見つかったときのように心底ほっとした響きでした。

子どもたちはしかちくに手を引っぱられて足の着くところまで連れて行かれます。

わたしの足にも、ぐにゃりとした砂の感覚がわかりました。

ああ~、よかった~。

水着からサンダルを引っ張り出し、お互い、泣き笑いのような顔を見合わせました。

「・・・ううう、うっわーあんあんあん、うわーあんあんあん」

ほっとしたのか、息子がダムの放水のように大声で泣き出します。

「ぼく、もう死ぬと思った。目も口もいらんから、手と足がんばれってずっと思ってた。」

娘もそれを見て涙を光らせます。

わたしたちは、さっきまでいた無人島を振り返りました。

「あんなに近くに思えるのになあ。」

こちらから見る無人島は、やはり手をのばせば届くような近さに思えるのでした。

結局足がつかないのは船の通る『海の道』の間約20メートルだけ。

でも人間、先が見えないことはとても不安です。

わたしも1ミクロンくらい、コロンブスの気持ちがわかりました。

たった1時間のアドベンチャー。

でも、一生わすれることのない決死のアドベンチャーでした。

子どもたちが最近めったにしなくなったのに、わたしの手をにぎります。みんな饒舌です。

「おーい!ちょっと、オレを置いていくな!」

うしろでしかちくが、転びながら笑っていました。

(おわり)


(追記)

みなさまいつもお読みいただきありがとうございます!

無人島のアドベンチャー以来、子どもたちなりに考えることがあったのか、この夏、足のつかないところでもずいぶん上手に泳げるようになりました。
顔をあげたまんまでも泳げるようになり、しりに火がついたらやれるもんなんだと感心しました。
その上、潜る技術などははるかにわたしを凌駕し、
「お母さんがいちばん下手くそや」
と笑われています。
うぬぬぬぬ。

ところで天気がよかったきのう。
散歩に行った公園で、よく見かけるロシア人女性が上半身ビキニでした。
ちなみに下はテニスのスコートのような超ミニ。
もちろんレギンスとかはなく、素足。
おいおいおい。
と思いました。
さすがに宮古島でも、もう半そでは限界。
気の早い女子たちはブーツに、もこもこのニット帽。
それは暑いやろ、と思いますが、ビキニは寒いやろ。
でもロシアじゃきっとこの天気、真夏よりも暑いくらいなんだろうなあ。
おなかの恰幅のよさが、迫力満点でした。

さて明日は雑記です。
気楽にお越しくださいね!
それではまた明日もお待ちしてますね~!
とりぶう

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No title

こんにちは。
結局とんぼ帰りだったんですか。
勿体ない行動でしたね。
でも家族の絆が強まったでしょう。
もしかしたら家族の間がギクシャクしたかのどちらかでしょうね。
私はビーサン履いたまま泳げます。
でも、もともとが50m以上は泳げません。
平泳ぎと背泳ぎなら楽だと思うんだけどな。
私はクロールもビーサン履いたまま泳げます。

あぁ~良かった♪

一波乱も二波乱もあったのかしら?とドキドキしてましたが、
無事に帰ってこれて本当に良かったネ!

しかちくさんが凄く頼もしく感じました。
とりぶうさん、ひょっとして、この時に
惚れ直した?

お子さん達も良い経験でしたネ♪

いやぁ~それにしてもお疲れ様でした<(_ _)>

No title

v-238ふふふ私もへたくそです

No title

こんばんは。
丁寧なお答えをいただいていたのに、
今見ました;
遅れましてすみません。
メモ腸は私もよく使います!
ナニを書いてるのか意味不明になることも多いですw
でも、よくあんなにいろんなことを思いつくなぁ!
っていつも感心というか、尊敬してます!

今回の話も面白かったです!!
中盤の迫り来る不安感と
最後の安堵感から来る泣き笑い!
最高ですね!!
特に最後の2行、映画のような終わり方が好きです。
しちかくさんガ転んだシーンをバックに
エンドロールが流れそうです。

よかった、よかった!!

こんにちわ、とりぶうさん。。

なんかはらはらドキドキのアドベンチャーでしたね。
でも、最後はほんまよかったですね!
そう、人間って見えないものにすごい恐怖感を抱きますね。
暗闇の中や、霧の中。。
そして、相手の心の中なんかに・・・
でも、何かがわかるとほっとしたり、喜んだりするもんですよね。
危険の少ない範囲で、見えないものを探し求めていきたいですね。
そうすることによって、本来持っている野生の感性が磨かれていくと思うし・・
でも、ほんま皆が無事でよかったです!!

No title

新潟はコート来てますよ~ 笑)

おっ子達には いい経験だったでしょうね!
でも 海嫌いに為らなくてよかったわ~ (^O^)/
自信にもなったのかな? いい苦労だったですね!!
親御さんお疲れ様でした m(__)m
ちなみに泊まる選択はなかったのでしょうか?
私は・・・夜怖いからパスですが~ 笑)

さすがに

半袖無理?
気温が20度以上なら余裕で半袖です(^_^)/

ビキニに超ミニ・・・
聞いただけで寒い(。・ρ・)ジュル

(その涎は何だ?(^_^;))<神の声>
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