ヒッヒッフーッ、ウンッ!~あなたができるまで 32ショートショート とりぶうの読むコント~宮古島  ヒッヒッフーッ、ウンッ!~あなたができるまで 32 


ヒッヒッフーッ、ウンッ!~あなたができるまで 32

テーマ : エッセイ ジャンル : 小説・文学


※よろしかったら最初からどうぞ→あなたができるまで



娘よ。

これからやってくる痛みが、はたしてどれくらいなのか見当もつかないけど。

陣痛から察するに、相当なものであるには間違いなかった。

鼻からスイカ出すような痛みとか、1ヶ月間たまりにたまったベンピを解消するような痛みとか、いろんなおどかし方をされたので、びびってはいた。

出産のときは、ラマーズ法という呼吸法が効果的らしく、助産婦さんから、

「さいしょは ヒッ、ヒッ、フーッ。

後半になったら ヒッ、ヒッ、フーッ、ウンッ、っていきむんやで

で、もう頭が出てきたら、いきんだらあかん。

チョウチョの呼吸で、ファ~、ファ~やで」

と教えられていた。

助産婦さんは、『ウンッ』のとき、ものすごく鼻にかかった声を出したので、

ほんとにそんなことをやらねばならないのか、とちょっと愕然としたよ。

はじめの『ヒッヒッフーッ』はまだしも、『ヒッヒッフーッ、ウンッ』というのはいかにも恥ずかしく思え。

なんだか、キューティーハニーのコスプレをしてウィンクしろといわれたような恥ずかしさだと思った。



陣痛はしだいに、休憩の間隔が短くなってきて、10分になった。

最初はためらっていた『ヒッヒッフー』も、このころにはすっかり慣れて、

「あ・・・きたきた、陣痛きた、ヒッヒッフー」

と、すぐさま反応できるレベルにまで来ていた。

しかちくは横に来て、

「とりぶう、ウンッ、忘れてる、ウンッは!」

と笑わせにくるので、腹が立った。

こっちが死にそうな勢いで痛みに耐えてるのに!

痛みが治まったらタダじゃおかねえ!

と思ったりした。

でも、出産が終わったら忘れてしまっていて。

思い出したのは次の子の出産のときだったので、これまたどうしようもなかった。




あなたができるまで32 1・31




さて。

陣痛はいよいよ本格的に地割れのような、

うおおおおおお、

くるーーーーー

という、末期的な状況になってきた。

顔は痛みにゆがみ。

女は母になる前に、鬼になるのかと思った。

助産婦さんには、

「ええか。あんた4分間隔になったらおいでや。

それまでは来たらあかん」

と何度も念を押されていた。

しかし、あなた。

4分間隔ってもう相当、切羽つまってるよ。

おさまったと思ったら、すぐにはじまる。

もう、なんかわからんけど、下に下に下がって来てる気がするんだよ。

それくらいになると、もう子どもは動かないと言われてたけど。

どっこいどっこい、ぐるぐる動き回っていたよ。

あんまり元気に動くもんだから、その勢いでえ~いっ!と出てきたらどうしようと焦ったよ。

ようやく4分間隔になたっときに電話してもらった。

助産婦さんから来てもいいとの許可が出たので、いざ車に。

わたしたちの部屋は三階だったので、陣痛の中、下に降りるのが不安だった。

わたしはひょっとしたらしかちくが抱っこでもしてくれないものか、と思っていたのだけれど。

よく考えたら、そっちのほうがよほど危ない。

ヘタしたら、しかちくが病院送りだ。

そろりそろりと階段を下りた。

降りてる途中にも陣痛がやってきて。

あんなに階段が長く感じたことはなかった。

途中であきらめたくなった。

これからまだまだ道のりは遠いのかと思うと、現実逃避したくなった。

でもどっちにも戻れない。

負けられない戦いがそこにはある みたいに。

降りるしかない階段が そこにあった。

ていうか、わたしが止まろうが止まらなかろうが、あなたはノンストップ。

明日の今頃はきっと、この痛みは消えてるんだから。

いや、早ければ3時間後くらいには消えてるんだ。

そう思って、怠けそうな自分を奮い立たせた。

こんなときにも怠けたい自分がいることが 我ながら情けなかったけれども。



玄関を出るとき。

次にこの玄関をくぐるときは、あなたもいっしょなんだと思うと。

出産というよりは、出陣というような心境になった。

人生が変わる瞬間がすぐそこまで来ていた。



つづく

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爆笑の嵐 ≧▽≦ 

必死に痛みと闘っている時に、
緊張をほぐそうとでもしているのか笑わせてくる人間、私にもいたよ。
マイファーザーよっ!!
でも、本当にせっぱつまって来ると、男は何もできないとばかりに部屋から出て行って、マイマザーが背中や腰をさすってくれていたけどね。

今、ふっと考えたよ・・・
私南の島に移住しちゃったら、娘の出産のときに力になってあげれるだろうか。
「実家はここだ、帰って来い」とはよう言えんし。
んん・・・ そんな予定は今のところないが。。。
へそくりをしっかりためて、飛行機代くらいはいつでも出せるようにしておこう!!

私も陣痛に耐えている顔、とりぶうのイラストの様な顔だったのかな・・・?
けっこう、キョーレツなお顔だわよね・・・  ̄^ ̄;

No title

踏ん張って顔が赤くなって 顔の毛細血管が切れてそばかすみたになってたな~うちの妹・・・
本当に大変なんだよね・・・
あ~こっちまでドキドキしてしまう!!
一回でも『うっふん』ととりぶうさんが言うのか!!
な~んてね!! 笑)

そんな時旦那さんは おろおろするのは仕方ないね ^^)

あかん…。
緊張してきました。

赤ちゃんの誕生日は、ママの初出産記念日、新パパの日w。
母はばあちゃんwになるしw。

いよいよ佳境ですね!

こんばんわ、とりぶうさん。。

いよいよですね。
男はなかなかわからへん境地ですね。
”ラマーズ法”懐かしいなぁ~~
陣痛の間隔と母親への実感と同じですね。
いよいよ・・・楽しみです!!
なんか、自分の子供が生まれるような気がしてきたよ~(笑)

No title

いよいよですね。
陣痛中に階段はきつかったでしょう。
あの痛みですものね。

なのに過ぎれば忘れちゃうのが不思議ですね。

八重yamabuki さん。

そういえば、八重ぶさんのお父さん、かなりユニークな方でしたよね!
でもいてくれると和むという人、必要だよね。
八重ぶさんの娘さんなら、大丈夫!
きっと立派に産むよ!
なんだったら娘さん、南の島でのお産はどう?のんびりしてていいよ~。

陣痛の顔、わたし自身は見えなかったけど、出産後に撮った写真みたらすごい乱れてたので、きっとすごかったんだろうなあと思いました。


イノぶたさん。

やっぱり、妹さんも『鬼』化してた?
そうなるんだよね~。
ヒッヒッフーッ、ウンッ
は人のを聞いてたら恥ずかしかったけど、自分のときはそれどころじゃなかった!
ビデオに撮られてなくってよかったとつくづく思います!

すくわかさん。

本人もさることながら、まわりもハラハラドキドキなんでしょうね~。
そうそう、赤ちゃん誕生のその日から、みんな肩書きが増える!
今でこそ自分のことを「お母さんは・・・」といえますが、さいしょはなんだか面映かったですね。

さすらいの阿呆鳥さん。

あはははは!
自分の子と思っていただけるのはすごく光栄です!
陣痛の痛みと出産の痛みと、二人目のときは後産の痛みがすごかったので、
子どもを産むって、痛みの連続だと思いました。
さ~、このシリーズももうすぐ終わりだ~!

羊飼いさん。

階段は厳しいですよね、ほんと!
お産は病気じゃないから救急車も使えないというけれど。
冗談じゃないよ~、途中で産まれたらどうするよ~と思いました。
ほんと、痛みは過ぎたら忘れます。
それがいいんでしょうね。

そうそう

子供が生まれると人生が変わります。
優先順位の一番が子供。
当時、私はハムスターと最下位争いをしていました。

そして、破れました(T_T)

しかし、そのハムスターも他界し
今はマリモと争っています(^_^)/

さすがにマリモには勝っているような気がします(^o^)

のぶちんさん。

ははははは!
たしかに子どもが小さいうちは、ほんとに手がかかりますもんね~。
手のかからないのはのぶちんさんと、マリモだけだった?ははは。
でもマリモに負けたら立つ瀬ないですね~。
関係ない話ですが、マリモが生きてるというのが、なかなか子どものころは信じられませんでした。
だから、マリモが死んだという話を聞いたりしたら、ぬいぐるみが死んだと言われたような違和感でした。

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