Entries
作品No. (242)
「いいなあ。いつ見てもかわいいよ。マリアちゃん。」
少年は雑誌のグラビアをしげしげと眺めている。
そして、目を机の上にやる。そこには汚い花瓶が乗っている。
たったひとつの願いをかなえてくれる魔人が、入っているという花瓶だ。
少年はこれを手に入れてからずっと悩んでいた。
たったひとつの願いなんだ。バカなことに使っちゃいけない。
ネットではこの花瓶を手に入れたが、失敗したという話ばっかりだ。
みんな欲が深すぎるんだ。だから失敗するんだ。用心深く使わなきゃ。
少年は雑誌に目を戻す。
マリアちゃんとお付き合いしたい。当然それは考えた。でも、これこそがバカな考えというもの。
オレは、マリアちゃんを見てるのが楽しいんだ。
それに、お金もかかるし付き合うのは大変そうだ。
どうか、ひと目会いたい。でも、それはもうすぐ叶いそうだ。
少年が住む街の、いちばん大きなレコード店で、マリアちゃんのイベントがある。
少年はそれに行くつもりだった。CDも買って、入場券はもう手に入れた。
その場所で、・・・そうだなあ、なにをお願いしようかな・・・。
少年の口元はゆるむ。
イベント当日。
少年はリュックに花瓶を入れてレコード店へ行った。
レコード店は少年と同じ年頃の男の子たちであふれている。
オレはお前らよりマリアちゃんに近いんだ。少年は優越感を感じた。
イベント開始時間になり、マリアちゃんが軽やかなワンピース姿で出てくる。
あちこちから、マリアちゃーん、という声が飛ぶ。
マリアちゃんはかわいい笑顔をふりまきながら、歌を歌う。
少年は花瓶を抱え、マリアちゃんがあたかも自分のものになったような錯覚に陥った。
その後、今日CDを買った人に対するサイン会があるという。
願ってもないチャンス。直接マリアちゃんにサインがもらえる。しかし少年はあせった。
CDを買うお金がない。どうしよう。CDを買うために魔人を出そうか?
それはまるっきりバカな考えだ。そうこうしているうちに、サイン待ちの列が伸びてゆく。
少年はあせる。マリアちゃんのサインが欲しい!直接欲しい!少年は意を決して花瓶をだした。
「直接サインが欲しい。お願いだ!」
その瞬間、花瓶の中から大男の魔人が現れ、少年のリュックにさらさらっと『まじん』と書いた。
「はい、サイン完了!これでたったひとつの願いはかなえました、ご主人様!」
うれしそうにそう言って、魔人はしゅるしゅるっと花瓶の中に戻って行った。
「え?え?なんで?なんで?お前のサインなんかいらねーよ!
おまけに汚い字!おーい!戻って来てくれよー!」
クリックしてくれると、とりぶうが踊るよ!



あしたも、お待ちしております。!
「いいなあ。いつ見てもかわいいよ。マリアちゃん。」
少年は雑誌のグラビアをしげしげと眺めている。
そして、目を机の上にやる。そこには汚い花瓶が乗っている。
たったひとつの願いをかなえてくれる魔人が、入っているという花瓶だ。
少年はこれを手に入れてからずっと悩んでいた。
たったひとつの願いなんだ。バカなことに使っちゃいけない。
ネットではこの花瓶を手に入れたが、失敗したという話ばっかりだ。
みんな欲が深すぎるんだ。だから失敗するんだ。用心深く使わなきゃ。
少年は雑誌に目を戻す。
マリアちゃんとお付き合いしたい。当然それは考えた。でも、これこそがバカな考えというもの。
オレは、マリアちゃんを見てるのが楽しいんだ。
それに、お金もかかるし付き合うのは大変そうだ。
どうか、ひと目会いたい。でも、それはもうすぐ叶いそうだ。
少年が住む街の、いちばん大きなレコード店で、マリアちゃんのイベントがある。
少年はそれに行くつもりだった。CDも買って、入場券はもう手に入れた。
その場所で、・・・そうだなあ、なにをお願いしようかな・・・。
少年の口元はゆるむ。
イベント当日。
少年はリュックに花瓶を入れてレコード店へ行った。
レコード店は少年と同じ年頃の男の子たちであふれている。
オレはお前らよりマリアちゃんに近いんだ。少年は優越感を感じた。
イベント開始時間になり、マリアちゃんが軽やかなワンピース姿で出てくる。
あちこちから、マリアちゃーん、という声が飛ぶ。
マリアちゃんはかわいい笑顔をふりまきながら、歌を歌う。
少年は花瓶を抱え、マリアちゃんがあたかも自分のものになったような錯覚に陥った。
その後、今日CDを買った人に対するサイン会があるという。
願ってもないチャンス。直接マリアちゃんにサインがもらえる。しかし少年はあせった。
CDを買うお金がない。どうしよう。CDを買うために魔人を出そうか?
それはまるっきりバカな考えだ。そうこうしているうちに、サイン待ちの列が伸びてゆく。
少年はあせる。マリアちゃんのサインが欲しい!直接欲しい!少年は意を決して花瓶をだした。
「直接サインが欲しい。お願いだ!」
その瞬間、花瓶の中から大男の魔人が現れ、少年のリュックにさらさらっと『まじん』と書いた。
「はい、サイン完了!これでたったひとつの願いはかなえました、ご主人様!」
うれしそうにそう言って、魔人はしゅるしゅるっと花瓶の中に戻って行った。
「え?え?なんで?なんで?お前のサインなんかいらねーよ!
おまけに汚い字!おーい!戻って来てくれよー!」



あしたも、お待ちしております。!
見逃した作品はこちらからご覧ください。
過去作品にもコメントくださいね。
目次一覧 1 (1〜100) ・ 目次一覧 2 (101〜200)
作品No. (241)
うちのとなりに空き地があります。
ギンネムという木が森を作っています。
このギンネムはほんとにクセモノで、刈っても刈ってもはえてきます。
おまけに成長がはやく、2,3ヶ月ほっといたら、かなり大きな木になっています。
しかし、小鳥や虫やトカゲたちにとっては、かっこうの住みかになっているようで、
となりの空き地でも生き物たちが、機嫌よく暮らしていました。
ところが。
その空き地が、更地にされることになりました。
建築資材置き場にするといいます。
ええ〜、ちょっと待ったって。
あの子ら、そんな心の準備できてないから。
あの子ら、ぜんぜん説明うけてないから。
(話してわかる相手か!)
でも。
心の準備が出来ていないのは、わたしのほうでした。
いきなりやってきたユンボが、グオングオンと音をたてて、土を掘り返していくのを見ると、
ものすごく悲しくなってきたのです。
にっくきギンネムのはずなのに。
あんなに枯れてしまえと願った相手なのに。
それは、卒業式で、大嫌いだった教頭先生に、
「キミらはほんま、やっかいで、ガキっぽくて、かわいい生徒やった。」
と言われるみたいな感じでした。
教頭、ほんまは、ええやつやったんや・・・。
ギンネムはあっというまに全部倒され、空き地から森は消えました。
見通しがよくなった空き地では、鳥たちがしきりになにかを探していました。
蚊が減って、防犯にもよくって、
いろんなプラスがあることはよくわかっています。
でも、そのかげでこんな風に生き物たちは生きる場所を失ってゆくのだ、と目の当たりにしました。
わたしは何にもできないんだなあ。
もう、キノボリトカゲや、メジロにも会えないんだなあ。
森の消滅は、思ったよりこたえました。
しかし。
ギンネムの特長。
それはすぐに成長すること。
そうや!
早速ギンネムを育てよう!
今、わたしは空き地にギンネムの種をまいています。
(ナイショやで!)
クリックしてくれると、とりぶうが踊るよ!



あしたも、お待ちしております。!
うちのとなりに空き地があります。
ギンネムという木が森を作っています。
このギンネムはほんとにクセモノで、刈っても刈ってもはえてきます。
おまけに成長がはやく、2,3ヶ月ほっといたら、かなり大きな木になっています。
しかし、小鳥や虫やトカゲたちにとっては、かっこうの住みかになっているようで、
となりの空き地でも生き物たちが、機嫌よく暮らしていました。
ところが。
その空き地が、更地にされることになりました。
建築資材置き場にするといいます。
ええ〜、ちょっと待ったって。
あの子ら、そんな心の準備できてないから。
あの子ら、ぜんぜん説明うけてないから。
(話してわかる相手か!)
でも。
心の準備が出来ていないのは、わたしのほうでした。
いきなりやってきたユンボが、グオングオンと音をたてて、土を掘り返していくのを見ると、
ものすごく悲しくなってきたのです。
にっくきギンネムのはずなのに。
あんなに枯れてしまえと願った相手なのに。
それは、卒業式で、大嫌いだった教頭先生に、
「キミらはほんま、やっかいで、ガキっぽくて、かわいい生徒やった。」
と言われるみたいな感じでした。
教頭、ほんまは、ええやつやったんや・・・。
ギンネムはあっというまに全部倒され、空き地から森は消えました。
見通しがよくなった空き地では、鳥たちがしきりになにかを探していました。
蚊が減って、防犯にもよくって、
いろんなプラスがあることはよくわかっています。
でも、そのかげでこんな風に生き物たちは生きる場所を失ってゆくのだ、と目の当たりにしました。
わたしは何にもできないんだなあ。
もう、キノボリトカゲや、メジロにも会えないんだなあ。
森の消滅は、思ったよりこたえました。
しかし。
ギンネムの特長。
それはすぐに成長すること。
そうや!
早速ギンネムを育てよう!
今、わたしは空き地にギンネムの種をまいています。
(ナイショやで!)



あしたも、お待ちしております。!
見逃した作品はこちらからご覧ください。
過去作品にもコメントくださいね。
目次一覧 1 (1〜100) ・ 目次一覧 2 (101〜200)
作品No. (240)
ミヤコ家の夕食。
「ナツミさん、これ、なかなかうまいのう。なんというもんじゃろの?」
おじいちゃんが料理を指さす。
「ああ、それですか?それは鮭のマリネです。洋風の酢の物ですよ。」
ナツミさんはよろこんで答える。
「ほお。マリネ。洋風の酢の物。さっぱりしてうまいのう。」
おじいちゃんは食べながらうなずく。
「そうですね。暑いときにはおいしいですよね。鮭が安かったんで作ってみたんです。」
翌朝。
おじいちゃんが庭で水やりをしている。
「おはようございます。」
石垣さんちのアイコさんが声をかける。
「ああ、おはようさん。」
おじいちゃんもにこにこして答える。
「おじいちゃんの家庭菜園も立派になりましたね。」
アイコさんは元気に育った野菜を見て言う。
「おお、そうじゃろ?
このきゅうりも、そろそろ食べごろじゃの。」
おじいちゃんはきゅうりに水やりしながら言う。
「きゅうりは酢の物にするとおいしいんですよね。」
アイコさんが言う。
「マンネリじゃ。」
おじいちゃんが言う。
「え・・・そうですね。ちょっとマンネリでしたね。」
アイコさんは顔がひきつる。
「マンネリがうまいんじゃ。」
おじいちゃんは秘密を打ち明けるように言う。
「あ、はあ、そうですよね。マンネリって家庭料理では大切ですもんね。」
アイコさんは答えに四苦八苦する。
「マンネリはナツミさんのお得意じゃ。」
「あははは・・・。」
「また、鮭が安くならんかのう。」
石垣家。
「ミヤコさん家のおじいちゃんがあたしにぼやくのよ。
安いお酒しか飲ませてもらえないし、おかずはいつもマンネリだって!」
クリックしてくれると、とりぶうが踊るよ!



あしたも、お待ちしております。!
ミヤコ家の夕食。
「ナツミさん、これ、なかなかうまいのう。なんというもんじゃろの?」
おじいちゃんが料理を指さす。
「ああ、それですか?それは鮭のマリネです。洋風の酢の物ですよ。」
ナツミさんはよろこんで答える。
「ほお。マリネ。洋風の酢の物。さっぱりしてうまいのう。」
おじいちゃんは食べながらうなずく。
「そうですね。暑いときにはおいしいですよね。鮭が安かったんで作ってみたんです。」
翌朝。
おじいちゃんが庭で水やりをしている。
「おはようございます。」
石垣さんちのアイコさんが声をかける。
「ああ、おはようさん。」
おじいちゃんもにこにこして答える。
「おじいちゃんの家庭菜園も立派になりましたね。」
アイコさんは元気に育った野菜を見て言う。
「おお、そうじゃろ?
このきゅうりも、そろそろ食べごろじゃの。」
おじいちゃんはきゅうりに水やりしながら言う。
「きゅうりは酢の物にするとおいしいんですよね。」
アイコさんが言う。
「マンネリじゃ。」
おじいちゃんが言う。
「え・・・そうですね。ちょっとマンネリでしたね。」
アイコさんは顔がひきつる。
「マンネリがうまいんじゃ。」
おじいちゃんは秘密を打ち明けるように言う。
「あ、はあ、そうですよね。マンネリって家庭料理では大切ですもんね。」
アイコさんは答えに四苦八苦する。
「マンネリはナツミさんのお得意じゃ。」
「あははは・・・。」
「また、鮭が安くならんかのう。」
石垣家。
「ミヤコさん家のおじいちゃんがあたしにぼやくのよ。
安いお酒しか飲ませてもらえないし、おかずはいつもマンネリだって!」



あしたも、お待ちしております。!
見逃した作品はこちらからご覧ください。
過去作品にもコメントくださいね。
目次一覧 1 (1〜100) ・ 目次一覧 2 (101〜200)





















